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将来的に売上100億円規模へ?ファミマとタッグ、PPIHのリテールメディア戦略とは

小売企業の店舗やアプリなどの顧客接点を“メディア”として活用するリテールメディア事業が広がりを見せている。ディスカウントストア(DS)「ドン・キホーテ」などを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都/吉田直樹社長CEO:以下、PPIH)も同事業を強化する1社だ。今年4月にはファミリーマート(東京都)とのデータ連携を発表し注目を集めている。PPIHのリテールメディア事業の最新施策をレポートする。

「カイバラボ」が広告を企画・開発

 PPIHがリテールメディア事業を開始したのは22年11月。きっかけは、米国市場でアマゾンやウォルマート(Walmart)といった大手小売企業が同事業で成功を収め始めていること、またPPIHの顧客接点であるポイント機能付き電子マネー「majica(マジカ)」のアプリダウンロード数が大きく成長しており、自社にも事業参入の好機があると考えたことだ。

 またPPIHは現在、金融事業をはじめとする新たな収益源の創出をめざしている。これを達成するうえでも、自社の「データ」および「チャネル」という経営資源、そして「クリエイティブ制作力」という強みを生かしたリテールメディア事業に可能性を感じたという。

 こうした考えから、23年6月期は実験的な位置づけで、出稿企業の取引先メーカーとさまざまな検証を実施。24年6月期から本格的に事業をスタートさせた。

 現在、PPIHのリテールメディア事業は、グループ会社のカイバラボ(東京都/森谷健史社長)と、PPIHの広告事業部が連携して取り組む体制をとっている。カイバラボは「“小売の未来”をつくる新たなデジタルソリューションを創出する」を掲げ、新しいデジタルソリューションを発掘・開発することをミッションに、さまざまな実証実験を推進している。そんな同社が、PPIHのデータ分析、広告メニューの企画・開発を手掛け、広告事業部がメーカー各社への営業を行う。現在、全体で25人ほどが同事業に関わっているという。

 PPIHが現在メディア媒体とするのは、独自の電子マネーアプリ「majicaアプリ」と店内のデジタルサイネージだ。

majicaアプリで掲載した広告例。オリジナルキャラを登場させ、PPIHならではの方法で商品の魅力を伝える

 同社は14年、小売業のなかでも早期からポイント機能付き電子マネーを導入しており、翌15年7月から開始したmajicaアプリのダウンロード数は現在1100万人を突破。またmajicaでの決済比率は購入客全体の約4割に達している。ここで構築した顧客接点と高いロイヤルティを、リテールメディア事業に最大限活用していく考えだ。

カイバラボデータ事業推進部部長兼データコラボレーション部部長の小林真美氏

 カイバラボデータ事業推進部部長兼データコラボレーション部部長の小林真美氏は「アプリは今から来店する買物意欲が高い状態にある人に情報を発信できる。この顧客接点は販売促進に非常に効果的であり、新商品立ち上げ時などのブランドマーケティングにも活用できる」と話す。具体的には、アプリ上で単に商品訴求の広告を出すだけでなく、メーカーがブランドを訴求したいターゲット層にサンプルを提供するクーポンを出したり、購買履歴を活用して商品の購入者にアンケートを実施したりと出稿企業のマーケティングに役立つような施策にも生かせるという。

サイネージ活用で店内をメディア化

 もう一方のデジタルサイネージ

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