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組織の惰弱な意思決定を解消する「KT法」とは何か

空軍士官のマネジメント手法から生まれたKT法

 前回は、日本の意思決定法は、欧米と比較し議論の土壌に欠けている一方で、独裁制ほど強固なトップダウンでもないことを見た。本号以降では、議論を進めるうえで必要な、標準的な意思決定法である「KT法」について詳述していく。

空軍士官のマネジメント手法から生まれたKT法(写真はイメージ、bwilking/iStock)

 組織の意思決定法の代表例は、ケプナー・トリゴー法(KT法)である。当時ランド社というコンサルティング会社に勤務していたC.H.ケプナー氏とB.B.トリゴー氏は、1950年代に、有能な米国空軍士官のマネジメント手法には共通のプロセスがあることを発見し、その普遍化を試みた。KT法はそのエッセンスである。

 KT法は大きく、①状況把握(SA:Situation App-raisal)、②問題分析(PS: Problem Analysis)、③決定分析(DA:Decision Analysis)、④潜在的問題分析(PPA:Potential Problem Analysis)、の4つのプロセスからなる。②~④は、問題を解決するための「分析技法」であるが、①は、これらのうちどの技法を選択し、活用していくのかを適切に決定するための「評価技法」である(図表❶)。

KT法4つのプロセス

①状況把握(SA:Situation Appraisal)

 課題を解決するためには、課題を定義しなければならない。ビジネスの現場では、

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