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アクシアル、グループの人事体制を大きく変更 ねらいと今後の成長戦略

2月14日、アクシアル リテイリング(新潟県/原和彦社長:以下、アクシアル)は、2023年3月期第3四半期決算業績とともに、3月13日付で実施されるグループの機構改革を発表した。その内容と同社のねらいをレポートする。

アクシアルは2月14日はオンライン会見を実施し、第3四半期決算業績とともにグループの機構改革を発表した

原和彦社長は
持ち株会社の経営に集中

 今回発表されたアクシアルの機構改革の内容は主に①アクシアルのガバナンス強化、②最高責任者の任命、③アクシアルの建設設備企画を建築設備部に改称、④TQM・CSR・広報の各機能を再編、⑤内部統制の強化、一体的運用の5つである。

 今回、機構改革に踏み切った理由について、アクシアル原和彦社長は当日の記者会見の場で「グループ発足から10年経ち、その間で、売上、利益、店数において一定の成果を出すことができている。しかしさらなる成長を築くための土台はまだ十分にできていない」と述べ、持ち株会社と各事業会社の役割分担を明確にしつつ、より一体感を持ってグループのシナジーを発揮できる体制をめざすという。

 これを実現するために①のアクシアルのガバナンス強化では、これまで原社長は、原信(新潟県)、ナルス(同)、原信ナルスオペレーションサービス(同)の社長を兼務していたが、それら事業会社の社長職を解き、アクシアル社長・CEO(最高経営責任者)となり、グループの戦略立案、実現に集中する。

 原社長は「これまでの体制ではどうしても原信・ナルスの対応が中心となりフレッセイ(群馬県)への関与が限定的になっていたという課題があった。今後はこの部分にも時間を割き、より商品開発やマスメリットを生むためのインフラ整備に注力したい」と述べている。

アクシアルの原和彦社長

主要事業会社3社の
社長に丸山三行氏

 この原社長の経営体制の変更に伴い、同日、各事業会社の新たな代表取締役や、その他役員の異動も発表された(異動は3月13日付)。
 原信、ナルス、原信ナルスオペレーションサービスの社長には、現在3社の常務取締役で(原信ナルスオペレーションサービスでは常務取締役・執行役員)、アクシアルの常務取締役である丸山三行氏が就任する。

原信、ナルス、原信ナルスオペレーションサービスの新社長に就任する丸山三行氏

フレッセイの社長交代
早川仁氏が新代表に

 また、フレッセイの現社長である植木威行氏から、体調不良を理由に、現職とアクシアルの代表取締役を辞任したい申し出があったことを受け、フレッセイ新社長に、グループの食品の製造・加工事業会社ローリー(新潟県)社長の早川仁氏が就く(植木氏はアクシアルでは取締役、フレッセイでは取締役会長として残る)。

フレッセイの新社長に就く早川仁氏

財務、情報システム、人事に
最高経営責任者を配置

 次に、機構改革の②最高責任者の任命では、CEO以外に、財務、情報システム、人事において最高経営責任者を置く。
 順にCFO(最高財務責任者)に、現・アクシアル専務取締役・執行役員 物流企画部長の山岸豊後氏が、CIO(最高情報システム責任者)には、現・アクシアル執行役員 経営企画部長の小林政信氏が、CHRO(最高人事責任者)には、現・アクシアル取締役・執行役員 人事企画部長の丸山将範氏が就く。

 財務、情報システム、人事の3つ領域の体制を強化した理由について原社長は「チェーンストア経営における重要な土台は、『規模』『機能』『人材』と考える。規模のメリットを追求し商勢圏を拡大するには、各事業会社の商勢圏を、機能つまり物流や情報システムでつなぎ連携していく必要がある。さらに資金調達のための財務体制、人材体制を強固にしていくことが重要だ」と述べている。


M&Aも見据えて
10年内に200店体制へ

 今回の機構改革は、流通小売業界における競争が激化するなか、アクシアルのいっそうの成長意欲を感じさせるものである。

 原社長は今後のビジョンについて次のように語っている。

 「アクシアルとしてチェーンストアの規模を享受できるといわれる200店舗の達成をめざしており、これの目標に10年以内に到達したい。

 出店については立地の確保が難しくなってはいるものの、数年先まである程度の出店見込みが立っている。今後もキャッシュフローの範囲内で出店を重ねていきたい考えだ。

 一方、M&A(合併と買収)による新たな提携先の獲得も視野に入れている。さまざまな話を多数いただいており、よい話があれば前向きに検討していきたい」。

アクシアルは10年以内に200店舗体制の達成をめざす

 このように大きな機構改革、人事異動を発表したアクシアル。同日発表された同社の2023年3月期第3四半期連結決算は、売上高が対前年同期比3.7%増の1925億円、営業利益が同1.3%減の86億円だった。

 営業利益は、水道光熱費等の各種コスト増により減益だったが、売上高は新規出店や人流の回復などにより、収益認識に関する会計基準等の組み替え影響を除外した実績では、第3四半期連結累計期間において過去最高だった。

 注目したいのが業態を越えた競争が激化するなか既存店客数を100.4%と伸ばしている点だ。商品価格の値上げ等の影響による1品単価の増加により客単価も101.2%となり、既存店売上高は101.6%となっている。

 今回の機構改革でアクシアルがどのように強さに磨きをかけていくのか注目したい。