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オーケー、関西スーパー統合に待った 当初は否決「白票」の取り扱いに疑義 関西スーパーも反論 

オーケー(東京都)は11月8日、関西スーパーマーケット(兵庫県、関西スーパー)が10月29日に開催した臨時株主総会において可決された、エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリンググループとの経営統合について、「議決権行使の集計に係る疑義が判明した」として、疑義を表明した。翌9日には今度は関西スーパーが、オーケーの疑義について「事実誤認に基づく著しく不適切かつミスリーディングな主張を展開するもの」として反論。両者が主張をぶつけ合う展開となり、一度決着したはずの経営統合のゆくえも混沌としてきた模様だ(編集部注:11月9日の両者の動きを受け、大幅加筆しました)。

オーケーは関西スーパーの統合に疑義を唱えた(写真は臨時株主総会後の会見)

反対と同義の「白票」、賛成として組み入れた経緯

臨時株主総会は、オーケーが主導する反対派と会社側を支持する賛成派で大きく意見が分かれたが、投票の結果、可決に必要な2/3をわずかに上回る66.68%の賛成をもって、経営統合は可決された。

だが、総会検査役が議決権行使集計の経過に関する報告書を裁判所に提出。通例とは異なる経緯で議案が決議されたことが判明した。

それによれば、議案は当初、僅差で「否決」となっていた。その後、ある株主が、「本来『賛成』する意図だったにもかかわらずマークシートを白紙で提出してしまったため、自身の議決権行使がどう扱われるのか確認したい」と申し出、関西スーパーの判断によって当該株主の「白票」は「賛成票」として扱われた。

本投票では、投票前に「マーク記入のない場合(=白紙、白票)は棄権として取り扱う」「棄権は事実上、反対と同じ効果を持つ」と議長(関西スーパー・福谷耕治社長)および事務局側が念入りに説明していたにも関わらず、当初の取り決めと異なる判断をしたのである。

それにより結果は覆され、経営統合案は「可決」となった、というのが経緯だ。

オーケーの疑義に対し、11月9日、関西スーパーが反論

改めて、今回の臨時株主総会における投票方法について、投票前の事務局及び議長の説明をまとめたものは以下の通り。

オーケー側は8日、プレスリリースを発表し、「白紙で提出されたマークシートの一部が『棄権』から『賛成』に集計し直されたことは、議長自らが議場の株主の皆様に行っていた説明に反するものである上、議場の裏でこのような取り扱いの変更が行われたことは、議場にいる出席株主に対して一切説明されておりません」と、今回の白票の取り扱いに疑問を投げかける。

これを受け、関西スーパーも黙っていなかった。同社は翌119日、「臨時株主総会における議決権行使の集計経過に関するお知らせ」と題する反論のプレスリリースを公表したのである。

株主の意思か、事前ルールの尊重か?
そしてオーケーは仮処分申し立て

関西スーパーは、「オーケープレスリリースでは集計作業は午後250分ごろに完了していたとしているが、午後3時の段階で完了していなかった」ことを指摘。

その上で、関西スーパー側の主張と経緯は以下の通り。

集計途中に、ある株主から、自らの投票が事前に行った賛成の意思表示のとおり取り扱われているか確認してほしい旨の申し出があった

この株主は、投票用紙に記入を行わなかった(編集部注:白紙提出=棄権)ものの、
①投票用紙の回収の際、「本議案全てについて事前に行った賛成の意思表示のとおり議決権行使をする意思」である旨を回収担当者に対して述べていた
②この株主が当日受付に提出した職務代行通知書に本議案に全て賛成の意思表示をする旨が記載されていた
③この株主が事前に提出していた委任状及び議決権行使書においても本議案について全て賛成の意思表示がなされていた

以上を受けて、関西スーパー側は、当該株主が本議案の全てに賛成の投票をしたものと判断し、棄権を意味する白票を「賛成票」として扱った、としている。

関西スーパーは、株主の意思を尊重するかたちで「棄権票」を「賛成票」として扱ったわけだが、オーケーは、ルールに則って議長が説明した通り「棄権」として扱うべきだったと主張している。

同日オーケーは、関西スーパーとH2Oグループのイズミヤ及び阪急オアシスとの間の各株式交換の差止めを求めて、仮処分の申立てを神戸地方裁判所に行った。

このように双方の言い分は真っ向から対立。関西を揺るがす大型再編のゆくえは、経営統合が白紙となる可能性を含め、司法の判断に委ねられることになりそうだ。