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Tシャツの「グラニフ」がフォーマットを大転換! アパレル脱却で5年で売上高約3倍をねらう

デザインTシャツを主に販売するアパレルブランド「graniph」(グラニフ)を展開するグラニフ(東京都/村田昭彦社長)は、創業20周年を機にリブランディングを実施すると発表した。あわせて、リブランディング後の新フォーマットを採用した初の店舗として9月8日、「グラニフ原宿店」(東京都新宿区/以下、原宿店)をオープンする。グラニフがめざす新たな方向性と、それを象徴する原宿店の様子についてレポートする。

リブランディングで売上高300億円をめざす

 有名キャラクターとのコラボTシャツや、オリジナルキャラクターのデザインTシャツで幅広い世代から人気を集めてきたグラニフのリブランディングの内容は、一言で表せば「アパレルからの脱却」だ。これまで、グラニフが取り扱ってきたアイテムはアパレル領域が100%。これを2026年にはアパレル領域と、服飾雑貨・生活雑貨などの非アパレル領域で50%ずつのシェアとし、約3倍の売上高300億円をめざす。Tシャツ販売でこれまで支持されてきたグラニフが、なぜアパレル比率を下げようとするのか。

 当然価格帯がグラニフよりも低いユニクロのUT(UTは1500円、グラニフは2200円が価格帯のベース)との競争もあると考えられ、アパレル企業が同質化しやすいアパレル以外に活路を見出すケースは珍しくない。ただし、今回のグラニフの戦略には、発想の転換ともいうべき次のような考え方がある。グラニフの本分は、個性的でおしゃれなTシャツという製品そのものではなく、プリントされているグラフィックの方にある、というものだ。グラニフでは、年間100種類以上のオリジナルコンテンツを制作する一方、年間約50種類(21年実績)のコラボも実施している。コラボ先はアート、アニメ、漫画など多岐にわたるが、コラボ相手を徹底的に知ることで差別化を図ってきた。「例えば漫画なら、全巻購入して徹底的に読み込む」(村田昭彦社長)ことで、人気キャラクターのデザインをただTシャツにするだけではなく、「知っている人や(コラボ先の)ファンから見れば思わずニヤッとするような商品ができる」(村田社長)という。

 オリジナルコンテンツを含め、こうしたグラフィックの開発力の高さがグラニフの強みであり、プリントするのはTシャツに限らなくてもよい、というのが、今回のリブランディングの根底に流れる考え方だ。グラフィックを軸としたビジネスモデルの強化を図ることで、「デザインTシャツストア」から「グラフィックライフストア」への転換をめざす。

新フォーマット、EC強化、ロゴ変更…新たな施策の内容は?

新たに導入する非アパレル領域のアイテム。マグカップやトートバッグなどが並ぶ

 具体的な方策としてはまず、非アパレル領域の商品を幅広く導入する。21年2月に一度閉店し、今回原宿・明治通り沿いの同じ場所で新たに都内最大の旗艦店としてオープンした原宿店では、約450アイテムの新カテゴリの商品を取り扱う。いずれもグラニフのオリジナルグラフィックがプリントされた、マグカップやプレートなどの食器類、スマホケース、トートバッグなどに加え、今年5月にECサイトで先行販売し即完売したグラフィックスニーカーなどが並ぶ。8月に初めて展開して以降好評だというベビー向け商品や、ユニセックス商品も多く取り扱い、性別・年齢問わず楽しめる品揃えになっている。

先行販売で即完売となったグラフィックスニーカー

 リブランディングを受けて、店舗フォーマットにも変更があった。白を基調としたシンプルな空間づくりで、グラフィックが店舗の主役として引き立つよう配慮。また、従来50〜70㎡での出店を行ってきたところ、今後は150〜200㎡と約3倍の店舗面積を確保し、既存店の新フォーマットへのリニューアルを含め、今期20店舗の出店をめざす。今回オープンした原宿店も約185㎡を確保しており、今期既にオープンが決定している店舗の中には300㎡超のものもあるという。店舗面積の拡大の理由は、10月に予定されているECサイトのリニューアルと、現在27%程度のEC比率を26年には50%まで引き上げるとしていることと関連がある。EC比率が高まるにつれて、実店舗に求められる「ブランド体験」「顧客接点」などの役割を十分に果たすためで、オンラインとオフラインのシナジーを十分に引き出すための施策とみられる。

原宿店の店内。白を基調にしたシンプルな内装は、グラフィックを引き立たせるのに役立つ

 最後に、ブランドロゴの刷新も行った。これまで、「Design Tshirts Store graniph」という4行に渡るロゴを使用してきたが、今後は「graniph」1行のみのシンプルなものを使用する。色は従来と同じく赤色を採用しつつ、シンプルにすることでより視認性を高め、さらにTシャツだけにこだわらないというリブランディングの方向性も示されたかたちだ。

定番のTシャツ販売にも変化あり

9月20日までの期間限定ポップアップストア「graniph Graphic Factory」で選べるグラフィック。10グラフィック×10色から選ぶことができる

 10月からは、定番のTシャツに関して新たな取り組みがECサイト上でスタートする。100種類の人気グラフィックから、自分の好きなものを選んでプリントしてもらうことができるというサービス。「(アパレル全体として)余剰在庫や廃棄が問題になっている中で、必要な分だけプリントし、販売するというエコな取り組み」(村田社長)で、グラフィックそのものを武器とするグラニフならではの施策といえそうだ。原宿店では、ECでの取り扱いスタートに先立ち、オープンから9月20日までの期間限定でポップアップストア「graniph Graphic Factory」を設置。壁一面に掲示されたグラフィックから好きなデザイン・色を選び、実際にプリントする様子も見ることができる。

グラニフ村田昭彦社長と、シンプルになった新たなロゴ

 数々の人気グラフィックを世に送り出してきたグラニフ。「商品=キャンバスと捉え、まだ描いていないキャンバスがある限り成長できると考えている」(村田社長)の言葉通り、非アパレル領域でもその存在感を示すことができるか注目だ。