北海道を地盤に店舗展開するコンビニエンスストアチェーンのセコマは、創業時からSPA(製造小売)を志向してきた企業だ。地域の生産者との密接な連携により生み出される商品は、競合の追随を許さない圧倒的な独自性を誇り、同社の絶大の支持の基盤となっている。なぜ、セコマは「食のSPA(製造小売)企業」として成長することができたのか。丸谷智保会長に聞く。
創業当初からSPAを志向 足元ではマスクも開発
──セコマで地域に密着したSPA(製造小売)の事業モデルが進化してきた背景について教えてください。
丸谷 1971年の創業当初は、売り手であるメーカーの力が買い手の小売業者よりも強い時代で、小規模な小売チェーンは、自社で商品を開発・製造したり、調達先を独自に開拓していく必要がありました。そこでセコマでは、創業当初から、自社の総菜製造工場を稼働させ、北海道の地域産品を中心とした原材料の調達先の開拓や海外からのワインの直輸入などに取り組み、それを徐々に拡充させてきました。その結果、自社のDNAとしてこれらが深く根付いています。
──現在の商品開発体制や製造体制はどうなっていますか。
丸谷 商品部のもとに各商品開発チームを配置しているほか、輸出入部やセコマグループのメーカーにも商品開発の担当者がいます。
セコマでは、原料生産や製造を担う子会社12社を中心に、食のSPAに向けて必要な機能がグループ内に揃っています。製造工場の生産設備をリニューアルして生産効率を上げたり、洋菓子メーカーのシェフグランノール(北海道札幌市)と和菓子メーカーの三栄製菓を合併して多能工化を進めるなど、既存の機能をさらに磨いています。商品開発や調達先の開拓を分業で行いやすくなり、調達先との接点も多様に広がってきました。
コロナ禍においては、経済産業省からの要請を受け、大規模災害に備えるため、非食品の分野にも初めて着手しました。マスク製造工場を稼働させ、20年8月に「Secoma 肌ざわり、なめらか国産不織布マスク」を発売、6カ月で400万~500万枚を販売しています。
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