東海地方を中心に食品スーパー(SM)を展開するバロー(岐阜県/田代正美社長)がアマゾンジャパン(東京都/ジャスパー・チャン社長)と協業してネットスーパーを開始することを発表した。ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長:以下、ライフ)との協業に続き、アマゾンジャパンがSMとタッグを組むのは2社目となる。
バローの約8000品目がアマゾンで購入可能に
アマゾンジャパンとバローは2021年の夏をめどに、「Amazon Prime(アマゾン・プライム)」会員向けサービスとしてアマゾンのWebサイトおよびアプリ上にバローのストアをオープンする。生鮮食品やバローのプライベートブランドなどを含む、リアル店舗で取り扱う商品約8000品目がアマゾンで購入できるようになる。なお、配送料金や配送時間帯については協議中とのことだ。
アマゾンジャパンはすでにネットスーパー事業において、自社で仕入れ・販売を行う「アマゾンフレッシュ」で関東エリアに、ライフとの協業で関東・関西エリアに進出している。今後事業を拡大するうえで東海エリアへの事業拡大を図るアマゾンジャパンと、ネットスーパー強化の必要性を感じていたバローの方向性が合致し、協業に至った。ECとしてのアマゾンの会員地盤や配送ネットワーク、バローの東海地方を軸とする約240店の店舗網や製造小売業としての企業体制などお互いの強みを生かしながら、東海地方において豊富な品揃えや高い利便性を提供できるネットスーパー事業を展開したい考えだ。
アマゾン・プライムの会員数の多さが魅力
配送の流れは次のようになっている。Webサイトやアプリからの注文後、バローのリアル店舗に注文情報が送信され、注文された商品をバローの専任スタッフがピックアップ・梱包する。それをアマゾンのスタッフが集荷し、利用者の指定の住所へ配送する仕組みだ。商品は注文から最短2時間で受け取ることができる。アマゾンがライフとともに関東・関西で展開しているネットスーパーと概ね同様のシステムとなっている。
バローは、事業所で働く従業員向けのネットスーパーサービス「ainoma(アイノマ)」および同サービスのシステム基盤を活用したドライブスルーでの商品受け取りサービス「ainomaピックアップ」を岐阜県の店舗ですでに展開している。
バローホールディングス(岐阜県/田代正美会長兼社長)取締役の小池孝幸氏は、「アイノマは事業所向けかつ岐阜県のルーラルなエリアでの展開だが、アマゾンとのネットスーパーは名古屋市を中心とする都市部での展開で個人向けのサービスのため、使われ方が異なり棲み分けは可能だ」と話す。また、自社での展開ではなくアマゾンとの協業を選んだ背景の1つとして、「当社の『ルビットカード』会員の拡大がまだ名古屋などの都市部においては進行しておらず、(ネットスーパーの利用者を増やすうえで)アマゾン・プライムの会員数の多さが魅力だった」と説明した。
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バローはまず愛知県名古屋市内の1店舗でのサービス開始に向け、従業員の確保や教育に注力。サービス開始後は安定して2時間で配送できる体制を整えるなどノウハウ構築に努める。その後バローのリアル店舗がある地域やアマゾン・プライム会員数の多いエリアを中心に、配送可能範囲を順次拡大していく計画だ。