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2021年に注力したい「顧客が自然と集まる店づくり」とは?

こんにちは、成田直人です。2021年も引き続き新型コロナウイルスの影響は冷めやらず、営業時間の短縮要請などによって実店舗への負担は重くなる毎日。ワクチンが普及するまでは長期的な戦いが予想されます。本記事では、コロナ禍において店舗が取り組みたい「顧客が自然と集まる店づくり」についてお話ししたいと思います。

tdub303 / iStock

顧客を「ファン化」する

 業界によって状況は異なりますが、コロナ禍で大打撃を受けた実店舗は枚挙にいとまがありません。私のクライアントも同様で、一時的に売上を落としている店舗もありました。しかし、20912月で売上をある程度回復させ、現在も売上を維持することに成功しています。その一番の理由は顧客の「ファン化」です。

 これまでは「広告でいかに新規顧客を集めるのか」という方法が重要視されていました。もちろん新規オープン直後の集客においては広告が必須です。一方、開業して半年以上過ぎている店は、評判のよさで顧客を集めることが重要になります。

 ECやネットスーパーなどの普及により、顧客はすでに実店舗に行かずとも日常を過ごすことができます。今後の実店舗は、明確な来店動機がなければ選ばれません。とくにコロナ禍では感染リスクがあるため、食品など生活必需品を取り扱う店舗を除き、よほどの理由がなければ来店することはないでしょう。

SNS運用や顧客に配慮した店づくりに取り組む

 このような状況下、2021年は「顧客が自然と集まる店づくり」をテーマにすることが重要だと私は考えます。広告などに投資して集客するのではなく、評判によって「ファン化」した顧客が自然と集まるようにすることがポイントです。その方法は大きく分けて2つあります。

 1つめは、SNSの運用です。「ツイッター」「インスタグラム」「LINE@」など、自店舗がターゲットとしている顧客の利用率が高いSNSで継続的に情報を発信し、ファンを増やしていきましょう。私もクライアントから「SNS運用はどうしたらいいですか?」と聞かれることがあります。ときには提携しているSNS運用代行のプロを紹介することもありますが、基本的には自社運用を推奨しています。まずはビジネス書などで学び、SNSの運用に慣れることが消費者心理を学ぶ上で大切です。最初はターゲットと年齢の近いメンバーで、SNSを運用してみることをおすすめします。

 2つめは、ターゲットに配慮した店づくりを行うことです。店内は自店のターゲットが満足する空間になっているでしょうか。ターゲットが高齢者であれば、掲示物の文体や文字の大きさへの配慮が必要です。家族連れであれば、ベビーカーが2台交差してもぶつからない程度の通路幅の確保や、キッズスペースのおもちゃの管理などに注意しなければなりません。顧客が「この店は年配(家族連れ)に優しい店だ」と周囲の友人に思わず漏らしてしまうほどの空間づくりが重要です。さらに、「グーグルマイビジネス」に口コミを投稿してもらうことで、よい評判が広がっていきます。

労働環境の改善も不可欠

 顧客からの評判を高めるためには、それに取り組む従業員にとって働きやすい環境づくりも欠かせません。労働基準法遵守は当然ですので、適正な労働時間・業務量で無理をさせず、やりがいを感じられる労働環境を整えることが重要です。

 これは言葉で説明するのは簡単ですが、一朝一夕では成し得ません。人手不足を嘆く経営者もいますが、そもそもなぜそのような状況になるのでしょうか。それは今働いているスタッフが、自信を持って「うちの会社においでよ!」と他の人に声をかけられないからではありませんか。「お金を稼ぐだけの仕事」と割り切っている人もいるかもしれません。しかし、現在働いている人は少なからず自分の仕事が好きだから残っているはずです。「とてもじゃないけど友人や家族には勧められない」と思われているのは残念です。

 労務環境を改善するため、最初は割高でも一部の作業を外注するなど、従業員の作業負担の改善に取り組みましょう。そうすることで、従業員の紹介による採用も増えてくるはずです。人手不足がある程度解消されれば、外注をやめて内製化することも可能となります。

 労働環境の改善や人手不足の解消が実現すれば、働く人も笑顔になります。そのような状態になってはじめて、顧客が自然と集まる店づくりに専念できるのです。よい口コミが増えれば、インターネット上でも多くの人の目に留まり、新たな顧客の創造につながるはずです。

 

なりた・なおと
19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。