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イトーヨーカドー朝霞店売場解説 常温・冷蔵・冷凍の3温度帯提案の総菜が、コロナ禍でも好調!

イトーヨーカ堂(東京都/三枝富博社長)は11月12日、埼玉県朝霞市に食品スーパー「イトーヨーカドー朝霞店」を開店した。同店の売場づくりを、新たな提案が光る総菜売場を中心にレポートする。

11月12日に開店した「イトーヨーカドー朝霞店」。同日グランドオープンしたカインズの商業施設「くみまちモールあさか」内に入る

カインズの商業施設の
核店舗として出店 

 朝霞店が開業したのは、東武東上線「朝霞」駅から北東へ約2kmの住宅街。ホームセンターのカインズ(埼玉県/高家正行社長)が同日グランドオープンした商業施設「くみまちモールあさか」の核店舗の1つとして出店している。

 同商業施設は、約130の分譲住宅や200戸以上が入るレジデンス、保育施設などと一体開発されたもの。施設周辺には30~40代の若いファミリー層が多く居住しており、今後も人口増が見込めるエリアだ。

 朝霞店の売場面積は約1437㎡とイトーヨーカ堂のなかではやや小ぶりの店舗だ。
 初の取り組みとして、出入口を1カ所のみとしたワンウェイの店舗レイアウトを採用。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、「買物の際にもできるだけ感染リスクを低減したい」というニーズが高まっていることから、買物動線を一方向にすることで人の人との接触を少しでも減らせるようにした。

 今回、朝霞店で注目したのが総菜売場だ。イトーヨーカ堂はここ最近、新店を中心に弁当の販売を強化。常温、チルド、冷凍の3温度帯での提案を進めて支持を得ているという。
 朝霞店を見ると、総菜売場の中央に設置した平台で常温弁当を販売。そのすぐ近くで、チルド弁当と冷凍弁当をコーナー化し一体的に訴求している。

朝霞店では常温弁当(写真右)の近くで、チルド弁当(左手前)と冷凍弁当(左奥)を販売している


 新型コロナウイルス感染拡大の影響で食品スーパーが好業績に沸くなか、総菜部門については業績が伸び悩んでいる企業は多い。感染リスク低減の観点から、総菜部門の売上の多くを稼いでいたフライ類のバラ売りが出来なくなったことなどが主な要因だ。これを補填するべく食品スーパー各社は試行錯誤を重ねている。

都合に応じて
選べる利便性を提供

 そうしたなかイトーヨーカ堂が注力しているカテゴリーの1つが弁当だ。3温度帯での提案により、常温では店内調理の出来たてを訴求する一方、チルドでは、素材の鮮度を生かしつつも3日ほど、冷凍では半年ほど保存可能な利便性を提供。来店客がそれぞれの都合に応じて選べるようにしているという。

チルド弁当では、素材の鮮度を生かしつつも3日ほど冷蔵保存が可能な商品を6SKU揃える。6年ほど前から販売してきた商品で、近年になって購入が伸びるようになったという

税抜398円の冷凍弁当
「フローズンデリ」が好調

 冷凍弁当については、イトーヨーカ堂オリジナル商品シリーズの「フローズンデリ」を販売する。19年9月に発売したシリーズで、主菜と副菜2品目がワンプレートになった商品を全12SKU展開する。発売当初、10店ほどで実験販売したところ好調だったため今年度から約100店に取り扱いを広げた。商品の製造は、同じセブン&アイ・ホールディングス傘下のコンビニ「セブン-イレブン」にも商品供給する、食品メーカーの武蔵野フーズ(埼玉県)が手掛ける。

イトーヨーカ堂オリジナル商品シリーズの「フローズンデリ」。朝霞店では「豚生姜焼きプレート」や「白身魚のトマトソースプレート」「ほうれん草とベーコンのキッシュ」など6SKUを販売していた

 「フローズンデリ」は、コロナ禍の外出自粛生活で保存が利く商品の需要が高まったことを受けて、売上が伸長している。とくに1個税抜398円と値ごろな価格設定が支持につながっているという。「開発に当たっては、冷凍庫のスペースを取らずに保存してもらえるようにコンパクトなサイズでの商品設計にこだわった」(商品開発担当者)。

一般にワンプレートタイプの商品は、おかずが複数品目入るため、かさ張るものが多い。そうしたなか「フローズンデリ」は冷凍庫の隙間の空間で保存してもらえるようにコンパクトサイズでの商品設計にこだわっている

 最も人気が高い商品は「デミグラスハンバーグプレート」だ。また最近では、30~40代の若い世代を中心に「ほうれん草とベーコンのキッシュ」もよく売れる。「キッシュについては『実際に材料を揃えて自宅で調理するよりもコストパフォーマンスが高い』という声を多くいただいている」(同)。

「フローズンデリ」商品シリーズの「ヒレかつ玉子あんかけプレート」。500ワットの電子レンジで5分ほどレンジアップするだけで食べられる

 実際に「ヒレかつ玉子あんかけプレート」を購入し試食してみると、家庭料理に近い控えめな味付けが印象的だった。冷凍庫に1~2個あれば食事を準備する時間がない時などに重宝しそうだ。

 このように3温度帯での販売を行うイトーヨーカ堂の店舗では弁当カテゴリーは好調だ。こうした新しい提案の効果もあって、総菜部門の業績は緊急事態宣言前後の落ち込みから回復し、現在では前年同月実績を超えて推移しているという。同社の取り組みは、コロナ禍で生じた新たな需要を取り込み売上伸ばした好例の1つと言えそうだ。

「イトーヨーカドー朝霞店」概要
所在地  埼玉県市朝霞市根岸台3- 20-1
営業時間 9:00~20:00
売場面積 1437㎡