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レジ袋有料化が後押し?コンビニが進める「レジ作業の分散化」

レジ袋の有料化を受けて、7月はコンビニのレジ袋辞退率が75%程度に高まりました。先行する食品スーパーでは8割を超える例も珍しくありませんが、コンビニの特性を考えれば順調なスタートではないでしょうか。レジ袋の削減が環境保全にどれだけ有効かはさておき、店のコスト削減にはなるはずです。それはいいのですが、有料化によってコンビニの会計時に矛盾というか、ストレスを感じませんか? 対面式のカウンターで店員に見守られながら、後ろに次の客を待たせつつ、袋詰めをしている自分に・・・。コンビニのレジカウンターを再考する時期ではないでしょうか?

レジ袋の有料化でレジでの会計時の所作が劇的に変わった?

レジで袋詰めしてもらうことに、違和感がなかったが・・・

 スーパーの場合、袋詰めはセルフサービスが普通で、会計とは別の場所に移動して行うものです。だからレジの配置も対面のカウンター形式ではなく、顧客が次から次へと流れるようになっています。コンビニでの買物は、ファストフードやレンジアップした弁当などカウンターで手渡されるものも多く、これまではレジで袋詰めしてもらうことに何の違和感もありませんでした。

 以前なら店員が袋詰めをしてくれる間に決済の準備をしていましたが、今は袋詰めを自分でやる分だけ時間がプラスになっています。頼めば店員が詰めてくれるはずですが、マイバッグを手渡して詰めてもらうのも微妙な感じです。それもコロナ禍にあっては、双方にとって望ましい選択ではないようです。

 いっそスーパーのように移動して袋詰めできればと、とくに購入点数が多い時は思います。自分が購入しているときだけじゃなく、他人の袋詰めを待たされているときなどはいっそう強く思ったりもします。

 けっきょく買物に関する多くの作業が、レジに集中しすぎているのではないでしょうか。レジでは購入商品のスキャン・決済・袋詰めに加え、ポイントカードやクーポンなどのやり取りもあります。

 

コンビニが進めるレジ作業の分散化

セブンイレブンが導入を本格化するセミセルフタイプの新型レジ

 実際、コンビニ各社はレジに集中し過ぎる作業を分散しようとしています。その1つがセルフレジの導入です。立地次第のオプション的なものとはいえ、ファミリーマートは19年度末で4000店に配備していますから、それなりの規模です。

 商品スキャンは店員が行い、支払いは顧客自身でというセミセルフ式もあります。ミニストップは、標準レジがセミセルフにも対応したハイブリッドタイプです。これは2台のレジを1人で運用するイメージといいます。商品スキャンを店員が済ませて、顧客が支払っているうちに隣のレジで次の顧客の商品をスキャンする。顧客が袋詰めを終えた頃には今の顧客のスキャンが終わり、出ていく方に「ありがとうございました」と言って送り出す・・・。そんな感じでしょうか。セブン-イレブン・ジャパンも9月以降、セミセルフレジの導入を本格化します。

 しかしセミセルフ式だと、作業の効率は上がるかもしれませんが、商品スキャン・決済・袋詰めの全部をカウンターでやることに変わりはありません。その点はカウンターに行かなくても済むセルフレジの方が、分散という点では優れていますが、一方で酒やタバコを売りづらいという難点があります。

 ローソンには、レジレス化の仕組みがあります。商品スキャンと決済をセルフサービスにすることで、レジレスを可能にします。それがローソン公式アプリの機能のひとつである「スマホレジ」です。利用者は購入品を自分のスマホでスキャンし、支払いもアプリにひも付けしたキャッシュレス決済で完了します。これだとレジに立ち寄る必要もないわけで、分散化の到達点といえるかもしれません。とはいえ酒・タバコを取り扱う課題は残ります。18年から稼働している仕組みですが、導入はまだ一部店舗に限られます。

 

顧客にはレジに並ぶメリットがない

顧客が買物中にスキャンする「ローソンスマホレジ」(公式YouTubeより)

 課題は多いとしても、ローソンのように商品スキャンと決済をセルフサービスにすることは、小売の未来を指し示しています。スーパーでも、トライアルグループやイオンリテールがそれぞれの仕組みでセルフサービスによる商品スキャンと決済に取り組んでいます。

 レジ経由でなければやれなかった商品スキャン・決済・袋詰めを分散化していくことで、店は作業負荷の軽減に、顧客にとってはレジ待ちのストレス解消につながります。この分散はレジへの人の集中を緩和することであり、まさにコロナ禍で求められている買物のあり方です。一気にレジレス化が実現するわけではないとしても、コロナ禍という不測の事態も含め、時代は着実にレジ作業の分散に向かっているように思われます。

 レジ袋の有料化も、環境保全の流れというよりは、むしろレジ作業の分散化の流れの中にあるトピックだと思うほどです。以前ならレジに並ぶ行為には、決済という義務を果たすだけでなく、レジ袋がもらえるので商品を持ち帰りやすくなるというメリットがありました。さらに、持ち帰ったレジ袋は家庭ゴミの袋になるので生活必需品を取得するという動機もありました。

 今やどうでしょう。レジ袋をもらえるわけでもないのに、レジに並ばなくてはいけないことにモヤモヤする昨今です。