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ホームセンター業界最大手!DCMは社長交代でどう変わるのか?

ホームセンター(HC)業界最大手のDCMホールディングス(東京都/久田宗弘社長:以下、DCM)は新体制に移行する。2020年3月に石黒靖規副社長が社長に昇格し、久田宗弘社長は代表権のある会長になる。同時に、事業会社5社を、21年3月をめどに統合することを発表した。同社はこれからどのように変わっていくのだろうか。

DCMホールディングスは2020年3月に石黒靖規氏が代表取締役社長兼COOに就任する

経営統合から15

 2005711日、カーマ(現・DCMカーマ)、ダイキ(現・DCMダイキ)、ホーマック(現・DCMホーマック)の3社による経営統合の基本合意書が調印されてから約15年。DCMは新たな局面を迎えた。

 DCM069月、その3社による共同株式移転により設立された持ち株会社で、設立前の04年度の3社合計の売上高は約4200億円。ホームセンター(HC)業界の売上高首位に一気に躍り出た。

 DCMは、「お客さま視点からの流通改革」を意味する「Demand Chain Management」と、「くらいの夢をカタチに」という「Do Create Mystyle」の2つの“DCM”の実現を追求してきた。それを具現化するために、①仕入れ、②国内外物流、③システム、④管理部門の集約による合理化を推進。また、300店舗を超える店舗数を武器に、プライベートブランド(PB)商品の開発にも取り組んできた。

 同時に、新たに参加意思を示す企業のグループ入りも歓迎してきた。実際、DCMは誕生以来、HC業界の再編の受け皿として傘下企業を増やし続けてきた。

 07年にはホームセンタータテヤマとオージョイフルを子会社化。その後も、ホームセンターサンコー、ホームエキスポ、サンワドー(現・DCMサンワ)、ユーホーム、くろがねや(現・DCMくろがねや)といった企業がDCMグループ入りした。そして、171月にはケーヨー(千葉県/醍醐茂夫社長)と資本・業務提携を結び、持分法適用会社化した。

 20192月期業績は、営業収益4457億円(対前期比0.5%増)、営業利益210億円(同7.7%増)。PBの売上高構成比は18.9%まで上がってきている。

基礎づくりから商品開発強化へ

 このタイミングでの新体制への移行は何を意味するのだろうか。

 いちよし経済研究所の小売セクターのアナリスト、柳平孝氏は「単なる若返りではなく、DCMの戦略シフトを意味するのではないか」と分析する。

DCMがとってきた事業戦略は一貫している。まずは久田宗弘社長のもと、基礎づくりに専念してきた。物流、IT、ポイント、アプリなどのプラットフォームをつくると同時に、ケーヨーを含めた850ある店舗数を生かしたPB開発を進めてきた」(柳平氏)。

 そして、今回の石黒新社長への交代は基盤形成がひと通り完成し、次のステップに移行したと柳平氏は見る。「商品開発を担当してきた石黒氏が社長に就くということは、今後より強力にPB開発を推進していく体制になるのではないか」(柳平氏)と推測する。

 クレディ・スイス証券の風早隆弘氏は、「DCMは同規模どうしの統合。上下関係のない統合での企業文化の融合は、通常簡単にできるものではない。久田社長だけでなく、各事業会社のオーナーが将来に対する理解があったから、10年以上かけて1つの区切りをつけることができた。事業会社の統合はいよいよ最終段階に移行した」とみる。

 一方で、留意すべき点もあると柳平氏は警鐘を鳴らす。「広域をカバーする小売企業は地域対応が弱くなることがある。総合スーパー業態ではこれまで100%、統合により地域対応力が弱まり、営業力が低下した。DCMはそうならないように、事業統合で商品部が各地域の担当者の声をしっかり吸い上げる必要がある」と柳平氏は指摘する。

 また、これまで郊外を得意としてきたDCMグループの各社と、人口密集地を商圏とするケーヨーの違いも指摘する。「ケーヨーの強みを残しながらDCM化をしていくことが、ケーヨー復活のカギになる」(柳平氏)。

 HC業界を取り巻く環境は依然厳しく、業界再編は今後も加速するはずだ。そのなかで、業界最大手DCMの事業会社統合がうまくいくかどうかが、今後の再編の流れを変えるだろう。