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ジョイフル本田、新社長に細谷武俊氏  “世界一”のホームセンター企業、復活なるか?

ジョイフル本田(茨城県/矢口幸夫社長)は、5月7日、代表取締役の異動と組織変更を発表した。2019年6月21日付で新社長に就任するのは、細谷武俊副社長(54)だ。1988年に伊藤忠商事(東京都)に入社後、アスクル(東京都)やカクヤス(東京都)、オフィス・デポ・ジャパン(東京都)などの経営に従事。2016年にジョイフル本田の社外取締役、2018年には取締役とホンダ産業(茨城県)の社長に就任。2018年、ジョイフル本田の代表取締役副社長兼営業本部長、商品本部統括に就き、現在に至っている。

 

「世界一のホームセンター」企業が…

 多くの業界関係者に「世界一のホームセンター」と賞賛されたジョイフル本田ではあるが、近年の業績は芳しくない。2012年度に1817億円あった売上高(連結)は、2018年度には1487億円と6年間で約18%減となっている。

 このところは、社長人事もめまぐるしい。1975年度の設立から2011年度までは創業者の故本田昌也氏と松山茂氏というカリスマ的な指導者2人が同社を牽引してきた。しかしながら、2011年に三菱商事出身の矢ケ崎健一郎氏が社長就任。2017年には矢ケ崎社長の突如の辞意を受け、常陽銀行出身の矢口幸夫氏が社長就任。今回は、そこから2年での社長交代となる。

 ジョイフル本田を“世界一”と言わしめたのは、なによりも売場面積4万㎡に約22万アイテムを集める超巨艦の大型ホームセンターである。店内は、売場と什器に商品を目いっぱい詰め込み、迫力を演出し、提案型の売場を差し込むことで、お客を魅了してきた。

  創業者の哲学もあった。その1つ「我慢の経営」では、1年に1個も売れないような商品を置き続けることで、顧客を満足させ続けた。一方で、1店舗1日当たりの売上高が世界一位というグローバルブランド商品も数多く存在した。

   ターニングポイントとなったのは、2009年に三菱商事系の投資ファンドである丸の内キャピタル(東京都)と資本業務提携をしたことだろう。同社は約1622万株を保有することでジョイフル本田の筆頭株主となった。その裏側には、ジョイフル本田の事業継承と相続問題があると言われた。

 しかし丸の内キャピタルは、2016年、「ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(以下、ベアリング:香港)のグループ企業であるビーピーイージャパン-1にジョイフル本田の全保有株式を譲渡する。このとき、ベアリングによって送り込まれた社外取締役の1人が細谷次期社長だ。

 その後、ジョイフル本田は2017年、ビーピーイージャパン1の所有株式を買い付けるとともに、TOB(株式公開買い付け)も行い、20181220日現在、自ら32.5%を保有する筆頭株主になっている。

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ジョイフル本田はこれからどうなるのか?

ジョイフル本田らしさを表現実現できるか?

 さて、ジョイフル本田は、これからどうなるのだろうか?

 オールドファンにとっての同社の醍醐味は“リアル・ロングテール”と称される豊富な品揃えとダイナミックな動きのある売場だ。

  けれども、2018年にリプレイスオープンした同社の都市型中型店のモデルであるジョイフル本田千葉店を見る限りは、そんなよさが弱まり、“自ら普通のホームセンターの形に寄せていっている感じを受ける。

 また、4万㎡超の巨大店舗の有効スペース活用ということで、従来の売場を集約してまとめ、あまった売場にテナントを入れるという施策もとられている。だが、多くのHC企業も同じようなことをしており、経営効率こそ少し改善されるかもしれないが、根本的な差別化策にはならないだろう。 参考: http://diamond-rm.net/blog_chief/5046/

 かといって、創業のスタイルが今の市場における絶対的なベストといえるわけでもない。

 しかも、アマゾン・ドット・コムを筆頭にEコマース企業の台頭は同社の“リアル・ロングテール”を脅かす。

 同社の強みは、何よりも「どことも異なる=オンリーワン」を志向し続けたこと。そして、創業者の本田氏から直接薫陶を受けたたくさんの従業員だ。

 新体制の発足に当たって、細谷次期社長には、そんな優秀な従業員を軸に据え、オンリーワン企業としてのジョイフル本田らしさを再び強く表現実現していただきたいと心底願う。