トライアルカンパニーとともにトライアルグループの中核をなすのが、Retail AI(東京都)だ。同社がめざすのは、AIをはじめとする最新テクノロジーを活用し流通業界に変革をもたらす「リテールDX」の実現。進化を続けるトライアルをデジタルの力で支える重要な役割を担っている。足元の取り組みと今後の展望について、永田洋幸社長に聞いた。
業界内の横断的な連携が必要
──「リテールDX」を志向するなかで、国内の流通業界のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の現状をどのようにとらえていますか。
永田 コロナ禍を機に、国内の流通業界でもDXの必要性が広く認識されるようにはなりました。しかし、DXを実践するフェーズに入っているとはいえない状況です。
少子高齢化や人口減少、地方創生、SDGs(持続可能な開発目標)といった社会的課題に取り組みながら、消費者の食生活や地域の食文化を支えるライフラインとして役割を果たし続けるためには、流通構造を最適化して「ムリ・ムダ・ムラ」を削減することが必要不可欠です。
そしてここで重要なのは、オープンイノベーション、つまり業界全体で課題を共有し連携することです。業界内で横断的に連携していなければ、アマゾン(Amazon.com)のような破壊的イノベーターが海外からやってきて、駆逐されることになりかねません。とにかく、リテールDXに関して何もやらないこと自体、「ハイリスク・ノーリターン」なのです。
──具体的に、リテールDXはどのような手法で実現されるものなのでしょうか。
永田 まず、「オペレーションドリブン」であるべきです。つまり、
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