大久保恒夫社長の新体制のもと、以前の本部一括仕入れから地域や店舗のニーズに応じた商品構成や売場づくりを行う「個店経営」を推進する西友(東京都)。なかでも「西友長野北店」(長野県長野市:以下、長野北店)は、信州産の食材の導入や地域の好みに合わせた総菜の開発など、西友の中でもローカル対応の取り組みが進んでいる店舗だ。
商販一体が早期に進む長野エリア
2003年11月にオープンした長野北店は、長野電鉄長野線「信濃吉田」駅からクルマで9分の場所にある。直近では18年11月に改装を実施した。店舗面積は2014㎡で、長野エリアの西友では標準サイズの食品スーパー(SM)型の店舗だ。周辺には「ザ・ビッグ長野三輪店」「ツルヤ徳間店」などの競合店がある。
長野北店が位置する長野エリアは、ツルヤ(長野県/掛川健三社長)を筆頭に地域密着型のSMが地元の根強い支持を獲得しており、競争環境は厳しい。そうしたなか、長野北店ではウォルマート時代に培ったEDLP(エブリデー・ロープライス)を軸とする価格訴求の仕組みを維持しつつ、多様化する食のニーズに対応するため、関連販売によるメニュー提案、地域食材の積極的な導入など新たな施策に取り組んでいる。「お客さまに価格とそれ以外の価値をしっかり伝え、売場の展開力を向上させることに注力している」(販売本部第1販売部3地区長〈取材当時、現在は異動〉 谷直樹氏)。
西友の地域対応が本格的に始まったのは大久保社長就任以降だが、その前から同社は「ローカル・バリュー・リテーラー」をめざし地域対応を進めていた。それまではセントラルバイイングで大量仕入れを行うことで低価格を実現し、効率性を高めるというウォルマート流の戦略を採っていたが、「地域対応という面ではどうしても後手に回る部分があった」(販売本部第1販売部部長 沼生剛志氏)という。こうしたなか、長野エリアでは大久保社長就任前から、販売本部や商品本部が情報を共有し、商販一体となった地域対応への取り組みを行っていたため、他のエリアよりも地域独自の施策が進んでいる。
従業員のチャレンジが活発に
大久保社長就任後は
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