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統合効果で大幅増収のマツキヨココカラ&カンパニー、今期もシナジー発現で盤石の体制となるか

マツキヨココカラ&カンパニー(東京都/松本清雄社長:以下、マツキヨココカラ)は5月13日、2022年3月期の連結決算を発表した。21年10月に「仲間」を意味する「&カンパニーと」いう名のもとに経営統合して以来、初めてとなる決算説明会において語られた業績および経営統合によるシナジー、今後の重点戦略についてレポートする。

統合効果発現で大幅増収・増益を達成!

 マツキヨココカラの22年3月期連結業績は、売上高が対前期比34.0%増の7299億円、営業利益が同31.1%増の414億円、経常利益が同31.5%増の448億円、当期純利益が同60.1%増の345億円となり、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも過去最高を更新した。

 なお、マツキヨココカラは22年3月期の連結業績は、旧マツモトキヨシホールディングスの第2四半期までの連結業績と経営統合後のマツキヨココカラの第3四半期以降の連結業績を合算したものとなる。また、マツキヨココカラでは22年3月期より 「収益認識に関する会計基準」などを適用しており、増減率については新たな会計方針を過去の期間に遡及適用して算出している。

業績の概要を見ていくと、売上高は、前期の新型コロナ関連特需の反動や継続したインバウンド需要の低迷などのマイナス面があったものの、ワクチン接種に備えた解熱剤の購入や新型コロナ検査薬の需要、そしてココカラファイングループとの統合効果により、大幅増収となっている。利益面についても、統合前から取り組んでいる商品棚割りや販促の統一、プライベートブランド(PB)売上高構成比の上昇など、統合によるシナジー効果によって大幅増益を果たしている。

調剤売上高が2倍に!

 事業セグメント別の業績は、マツモトキヨシグループ事業の売上高が5400億円、セグメント利益は361億円といずれも前期実績を上回った。ココカラファイングループ事業は売上高が1826億、セグメント利益は53億であった(経営統合のため前期比較はなし)。商品仕入れ、経営管理や統括、間接業務受託を行う管理サポート事業は売上高4633億円で増収を果たしたものの、セグメント利益は1億円の赤字となっている。

 商品別の業績では、ココカラファイングループの強みであった調剤の売上高が統合によって前期の約2倍となる1020億円に伸長。売上高に占める調剤を含む医薬品と化粧品の構成比率は68.4%となり同1.5%増となった。売上総利益率の高いこれらの商品は、今後も同社の収益力向上に寄与することが期待される。

 23年度3月期の連結業績予想では、売上高が同30.1%増の9500億円、営業利益が同28.0%増の530億円、経常利益が同27.0%増の570億円、当期純利益が同1.2%増の350億円を見込む。

 店舗数はマツモトキヨシグループが新規出店100店舗で1878店舗、ココカラファイングループは新規出店50店舗で1547店舗と、23年3月末時点でのグループ合計店舗数は3425店舗を計画する。

経営統合シナジーで収益改善へ!

 マツキヨココカラは2022年3月期業績について、「売上総利益の改善において経営統合シナジーが最も発揮された」と評価する。具体的には、ナショナルブランド(NB)商品において棚割り・仕入れ先の統一を完了。今後は店舗数の拡大や店舗運営の共同化により販売力の拡大を見込む。

 PB商品では品揃えの統一が完了するとともに共同開発体制が整ったため、今後は新商品の開発・人気商品のリニューアルを進める。これらの活動によって、シナジーの拡充とファン個客の増加をめざす。また、共同販促やグループキャンペーンの実施、ワントゥワンマーケティングなどにより、共同制作商品の販売力向上効果も得られているという。

 マツキヨココカラでは24年3月期上期までに両グループの顧客基盤の統合をめざしており、グループ店舗での「お買い物をする価値」を高めていく。

 さらに今後は、販管費においてもシナジーを発揮すべく、経費・仕入れコストの適正化も進めていく。具体的には、機能子会社の活用、グループ会社であるMCCマネジメントによる管理体制の一本化、店舗運営における業務の標準化・効率化、さらにKPI管理の強化や店舗運営改善と効率化に注力していく。

 調剤のM&A(合併・買収)や調剤併設店舗の規模拡大に伴う合理化も推進し、システムの統合や物流の効率化も進め、経営統合3年後をめどに営業利益300億円規模の収益改善をめざす。

拡大した顧客基盤をDXによって活用

 そのほかの重点戦略をみていくと、国内戦略では、利便性、独自性、専門性を追求し「お客様のライフステージに応じた価値提供」をテーマに掲げる。経営統合により、カード会員・アプリ会員、LINEフォローなどを合計した「総顧客接点」は約1.1億となり、店舗数約3300、約1兆円の商品調達力が得られた。これらのアセットを生かすべく、これまで培ってきたDXサービスの連携と統合を推進し、リアルとデジタルを融合するプラットフォームを構築する。

 近年のデジタル販促の規模と伸び率は年々上昇しており、22年3月期には2470億円で同1120億円増となっている。現在進めている会員基盤の統合により、加速度的な売上拡大を見込む。また、コストのかかる紙販促から5年前よりデジタル販促に転換したことで、約15%のコスト抑制を達成している。

 データ活用先の一つでもあるPB商品・共同開発商品については、前期発売されたRECiPEO(レシピオ)シリーズがある。同シリーズは一般的な購買データのみならず購買履歴から顧客の嗜好性や価値観をマイニングし、メーカーと共同開発した。販売実績も当初計画を上回り、好調となっている。

 PB売上高は対前期比で1.5倍増となり、売上高構成比は11.8%に増加した。今期も「THE RETINOTIME WHITE(レチノタイムホワイト)」など大型商品の発売を計画しており、利益率への貢献を見込む。そのほか、ファーストパーティデータを活用したNBの広告配信事業においても、さらなる需要拡大を見込んでいる。

 今後は店舗でのカウンセリングをデジタルで再現、店舗を拠点とした配送網を自社で整備するなど店舗とwebアプリを一体化し顧客に提供することで、店舗・顧客・取引先にとって最良となるプラットフォームを構築していく。

 グローバル戦略では「アジア市場での更なるプレゼンス向上」をテーマとし、タイ王国23店舗、台湾16店舗、ベトナム社会主義共和国2店舗の合計41店舗の展開、22年5月には香港で新たに2店舗をオープンした。これら海外顧客との接点も引き続き拡大し、アジアナンバーワンのドラッグストアをめざす。