メニュー

コロナ禍の外食意向調査レポート 消費者の意欲、飲み会が回復していない理由

 リクルート(東京都)の飲食に関する調査・研究機関である『ホットペッパーグルメ外食総研』では、コロナ禍以降、緊急事態宣言の発出や解除等、消費者心理の節目に当たるようなタイミングを捉えて、随時、消費者の外食意向について調査を行ってきた(外食実態調査)。

 ここでは、2022年2月(多くの地域ではまん延防止等重点措置期間中)に行った最新の第7回外食実態調査結果から、消費者の外食意向の最新状況について解説する。なお、弊社が毎月行っている別の外食市場調査(3圏域対象、夕方以降の外食・中食を調査)からは、コロナ禍で外食が減ると、内食(自炊)や中食がその分増えるという反比例の関係にありそうなことがわかっている。

「頻度を減らして行く」
意欲も低下傾向に

図1

 まずは22年2月の調査時点でのコロナ前と比較した外食の頻度の変化について、20~59歳の人に聞いた(図1)。前回(21年11月に行った第6回調査)に比べると外食頻度はやや後退。「当分は様子を見て外食を控える」とした人は32.5%(前回21.5%)と増加した。この数値は、昨年夏の東京五輪直前での調査(21年7月調査:34.9%)に近い水準である。

 また、コロナ前と「変わらない頻度で行くつもりだ/行っている」は13.9%(前回調査時23.9%)、「頻度を減らして行くつもりだ/行っている」は43.0%(前回調査時45.0%)と、ともに前回より減少している。

 前回調査時には、全国的に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されている地域がなかったことから、外食意向が減退したと考えられる。

「不安」「まだ自粛すべき」が
前回の調査より増加

 次に、外食頻度がコロナ前と比べて変化した20~59歳の人にその理由を聞いた(図2)。最も多かったのは過去4回の調査同様に「感染しないか不安だから」が63.6%(前回調査52.4%)、番目に多かったのも前回と同様で「まだ自粛すべきだと思うから」が45.0%(同36.6%)。ともにスコアが上昇しており、再び新型コロナウイルスに警戒を強めた様子がうかがえる。

 また、今回は「店の衛生対策の進み具合を見て、しっかりした店を選ぶつもりだから」が14.2%と前回調査(18.8%)よりスコアが下がっている。コロナ禍が長引き、お店側の感染対策は差が小さくなってきていると感じてスコアが下がったのか、もしくは最近の新型コロナウイルスの報道などが影響している可能性等が考えられそうだ。

 加えて今回は、過去1年間に実施された職場の飲み会の実施状況を3圏域居住の有職者のみを選んで集計を行った。主要な加えて今回は、過去1年間に実施された職場の飲み会の実施状況を3圏域居住の有職者のみを選んで集計を行った。

 主要な行事では「忘年会」(13.7%)、「歓迎会」(8.2%)、「送別会」(6.3%)と、いずれも16年別調査(参考値:「忘年会」60.6%、「歓迎会」35.1%、「送別会」36.0%)と比べると実施率は大幅に減少している。

 また、「不定期でこれといった理由のない飲み会」(13.7%)は16年調査(参考値:22.1%)と比べて相対的には減少割合が低く、忘年会と同程度の実施率であったようだ。

 性年代別では20代男性で「忘年会」が28.6%、「不定期でこれといった理由のない飲み会」が22.9%等、他の性年代よりも実施率が高かった。

飲み会の形式の変化に
応じて商機を掴む

 こうした職場のオフィシャル行事的な飲み会といえば、従来は飲食店を利用するか、人数が多い場合はホテルや「〇〇会館」のような各種会場で夕方以降行われるのが定番であった。しかしコロナ禍においては、飲酒を伴わない昼間の実施や、会社の会議室やオンライン開催等、多様な開催形態になっていることが考えられる。
 中食事業者には、こうした多様な開催方式に対応し、中食のさらなる進化や、新しい提供が求められているだろう。


【調査概要】
インターネット調査
調査期間:2022年2月18日~2022年2月20日
有効回答数:1034人(男性517件、女性517件)
調査対象者:全国47都道府県に住む20〜69歳の男女(マクロミルモニター)

【執筆者】

執筆者

稲垣昌宏(リクルート『ホットペッパーグルメ外食総研』上席研究員)

エイビーロード編集長、AB-ROAD.net編集長、エイビーロード・リサーチ・センター・センター長などを歴任し、2013年ホットペッパーグルメリサーチセンター・センター長に就任。市場調査などをベースに消費者動向から外食市場の動向を分析・予測する一方、観光に関する調査・研究、地域振興機関である「じゃらんリサーチセンター」研究員も兼務し、「食」と「観光」をテーマに各種委員会活動や地方創生に関わる活動も行っている。肉より魚を好む、自称「魚食系男子」