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柚、モリンガ、機能性飲料…、MDの参考にしたい! 世界が注目するホールフーズの食トレンド予測2022

 2021年10月、テキサスのオースティンを本拠地とする自然食品小売大手のホールフーズマーケット(Whole Foods Market)は、グローバルバイヤーと食の専門家からなるトレンド委員会による「2022年食トレンド予測トップ10」を発表しました。

 トレンド委員会は、新しい食のトレンドにアンテナを張り巡らせる同社のスタッフや、エリアおよびグローバルバイヤーのほか、食の専門家を含むメンバーで構成。日々の製品調達や消費者の嗜好研究から得た数十年に渡る知見をもとに、毎年トレンドを予測しています。
 
 今回の食トレンド予測について、ホールフーズ マーケットCMOのソーニャ・ガフシ・オブリスク氏は次のようにコメントしています。「昨年は世界中の人々がパンデミックのなか、自宅で過ごす時間が長くなったことで、食料品の消費習慣の変化を目の当たりにしました。食品業界がニューノーマルにゆっくりと馴染んでいくとともに、生活者は健康効果を謳う機能性炭酸飲料のような付加価値の高い商品を好み、都市型農業や土壌に良いプロセスで栽培されたウェルビーイングな商品を手に取るようになるでしょう」。
 ここからはその食トレンド予測トップ10を順に紹介します。

2022年食トレンド予測
トップ1~3
1.Ultaraurban Farming(超都市農園)

 ホールフーズ マーケットは13年、ニューヨークのブルックリンで屋上に「ゴッサムグリーン」運営のグリーンハウスを設けた先駆的な店舗をオープンしました。このグリーンハウスは太陽光と100%再生可能エネルギーを使用したサステナブルな方法で、ハーブやサラダ用の野菜を育てています。これ以降、水耕農園やアクアポニックス(※1)や、食料品売場の棚上でのキノコ栽培、ロボットが農産物の育成を担うなど、屋内農園の革新的な技術は盛り上がりを見せています。

※1:アクアポニックスとは、水産養殖の「Aquaculture」と、水耕栽培の「Hydroponics」とを掛け合わせた造語で、魚と植物を同じシステムで育てる新しい環境保全型の農業

2.You do Yuzu(ゆずにトライするべし)

 日本や韓国、中国で栽培されている柚子は、嵐のごとく料理界を席巻するでしょう。ドレッシング、アルコール入り炭酸水、マヨネーズなど様々なものに登場し、レストランではライムやレモン、グレープフルーツのような柑橘らしい風味を、スープや野菜料理、麺類、魚料理のアクセントに使います。2022年、このフルーツが売場で輝くのをぜひご覧ください。

3.Reducetarianism(削減・減量主義)


 あなたは、まだ肉を食べるのを完全に辞められない菜食傾向者でしょうか。削減主義は、肉や乳製品、卵の消費を完全に辞めずに消費量を抑える思想を指します。削減主義者は動物性食品がメニューにあると、牧草飼育のビーフや卵を選びます。

4.Hibiscus in Happening(ハイビスカスがきてます)


 ハイビスカスはお茶の世界では長い歴史があり、人々のビタミンCの摂取源でした。そして現在、食のプロデューサーたちが、甘くぎゅっと酸っぱい風味をフルーツスプレッドやヨーグルトなどの多くの料理に活用。飲料生産者たちは鮮やかなピンク色を活かし、クラフトドリンクを作っています。

5.Buzz-less Spirits(ノンアルスピリッツ)


 2021年、低アルコールスピリッツの歴史的な売上を私たちは経験しました。パンデミックのなかで、ミレニアル世代やZ世代では「アルコール離れ」が起き、この傾向は簡単に変わらないと予想しています。洗練された味を持つノンアルコールのカクテルのラインナップの世界に足を踏み入れてみてください。

6.Grains that give back(地球に優しい穀物)

 穀物は再び環境に着目し、健康な土壌を育む栽培方法と農業プロセスを通じて栽培されたものが人気となるでしょう。「ザ・ランド・インスティテュート(The Land Institute)」が開発した甘く、ナッツのような風味と長い根を持つ多年草の穀物「カーンザ(Kernza®」) は、養分循環と土壌の生態系にとても役立ちます。 シリアルやビールに使用されているので、ぜひ探してみてください。

7.Seize the sunflower seed(ひまわりの種を楽しむ)


 メジャーリーガーのベンチのお供に欠かせないひまわりの種は、ホームランやダブルプレーを盛り上げたのち、球場を抜け出して、クラッカーやアイスクリーム、クリームチーズに滑り込んで行きました。豊富なたんぱく質と不飽和脂肪酸を含むこの小さな巨人は、21世紀のおやつにゲームチェンジをもたらすでしょう。ひまわりの種を使った商品のほとんどは、ナッツ不使用。アレルギーフレンドリーで学校へのおやつにぴったりなのです。

※アメリカではナッツアレルギーへの配慮として、ほとんどの学校でナッツの持ち込みを全面禁止しています。

8.Moringa’s Moment(モリンガに首ったけ)

「奇跡の木」とよく呼ばれるモリンガは、インドやアフリカなどで古くから薬草として使用されていました。モリンガの葉は栄養が豊富で、成長も早く、干ばつにも強いため、世界中で栄養失調と戦うための重要な栄養源として用いられています。近年、米国では抹茶の新しい代替品として注目の的に。粉末で販売され、スムージーやソース、焼き菓子に魔法をかけるように使わるようになりました。冷凍デザート、プロテインバー、雑穀ミックスなど、意外な商品にも使用されています

9.Functional Fizz(機能的な発泡飲料)

 近年、発泡飲料は2つの重要な役割を果たしてくれています。人々はおいしさだけでなく、甘さの背徳感を打ち消してくれるような飲み物を求めているのです。プロバイオティクス入り発泡飲料をはじめ、プレバイオティクスやハーブ、そのほかさまざまな原料が追加された健康志向のドリンクのこと。フルーティーな風味に、斬新な材料。発泡飲料から、もっとたくさんのものを摂りましょう。

10.Turmeric takes off(人気上昇中のターメリック)

 ターメリック、またの名をゴールデンスパイスは、アーユルヴェーダや東洋医学で何世紀にも渡って使用され、アメリカでサプリメントとして人気を博しています。ゴールデンミルクラテや、ターメリックのサプリメントはおなじみですが、近年は、シリアルやザワークラフト(キャベツの漬物)、プラントベースのアイスクリーム、サンドイッチなど、新しい使われ方も定着しはじめています。

 ここまで紹介したなかでも、ノンアルスピリッツや 柚子、 削減・減量主義、機能性飲料などが食トレンドの中で大きな影響力をもつと予想されています。
また、前回の2021年で予測したフードロスを活用したアップサイクル商品、アルコール入りコンブチャなどは2022年も進化を続けながら、定番となることでしょう。

【媒体紹介】

食のビジネスメディア「FoodClip(フードクリップ)」
クックパッドが2020年に開始したWeb専門の食ビジネスメディア。
食トレンドや、市場・企業動向の記事をはじめ、クックパッドのデータを活用した生活者レポートのサブスクリプションを展開しています。https://foodclip.cookpad.com/