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オススメの一冊、『「食」の未来で何が起きているのか 「フードテック」のすごい世界』』

「食」の未来で何が起きているのか「フードテック」のすごい世界
石川伸一=監修(青春出版社刊/1000円〈本体価格〉)

 食品産業にはさまざまな課題が存在する。世界的な人口増加により食料の供給が不足する傾向にあるほか、農業では人手不足が深刻化し、畜産では製造過程でメタンが発生することで地球環境に悪影響を及ぼしているなど、解決しなければならない問題は少なくない。こうした状況下、近年食品産業における技術革新が急速に進んでいる。最近では食品スーパーや飲食店でも大豆が原料の代替肉を使った商品やメニューがよくみられるようになった。本書は、食品産業を取り巻く「フードテック」の最新事例を詰め込んだ解説書である。

 本書は序章を含めた9章構成で、一般的になりつつある植物性代替肉のほか、培養肉、昆虫食、ゲノム編集、魚養殖技術など食品生産における最新技術とそれらに取り組むスタートアップ企業を紹介するほか、農業や飲食業の生産性向上に寄与するロボットや個人レベルで使用する最新の調理家電などのトレンドも解説している。

 第2章「代替技術が生み出す『もどき食材』の可能性」では、大豆ミートをはじめさまざまな代替食材の事例を紹介している。なかでも注目したいのが「代替魚」だ。米ニューヨークのスタートアップ企業グッドキャッチフーズは、えんどう豆やひよこ豆など6種類の豆類のたんぱく質を原料とする植物由来のツナを開発。また、魚と同様の成分を持つ海藻由来の油を使用することで、脂質も魚に近づけている。こうした原料や製法へのこだわりが評価され、同社の商品の多くはユダヤ教の食事に関する厳格な規定「コーシャ」にも認定されている。同じく米ニューヨークのスタートアップ企業オーシャンハガーフーズは、主にトマトを原料とする代替マグロの赤身「アヒミ」を開発し注目を集めている。

 本書にはフードテックにおける最新情報が多く盛り込まれている。最新のトレンドを知り、仕入れや商品開発などに生かすうえで、食品メーカーや食品小売など食品産業に従事する人に多くのヒントを与えてくれるだろう。

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