味の素(東京都/西井孝明社長)は、1月7日に「2016年春季新製品試食説明会」を開催した(@品川プリンスホテル)。味の素冷凍食品(東京都/吉峯英虎社長)の岡本達也マーケティング本部 家庭用品事業部長のプレゼンテーションが興味深かったので、ここに抄録したい。
ご存知、味の素冷凍食品は、日本アクセス(東京都/田中茂治社長)が主催する「フローズンアワード」で2014年の「ギョーザ」、2015年の「ザ・チャーハン」と2年連続で大賞を獲得した冷凍食品業界の注目企業のひとつ。その製品戦略には、どんな考え方があるのだろうか?(談:文責・千田直哉)
「味の素冷凍食品の製品づくりの根幹にあるのは、お客様に驚きと感動をお届けするということだ。その実現に向けて、①ロングセラーの永久改良と②冷凍食品だからこそおいしい製品づくりに取り組んでいる」
「ロングセラーの永久改良ということでは、今春は『プリプリのエビシューマイ』に取り組んだ。同製品は、1972年の発売以降、時代の変化に合わせて、おいしさを研き続け、1996年に電子レンジ調理化、2007年に指定養殖エビ使用など焼売市場を牽引してきた。当社の調査によれば、現在の焼売市場は約451億円。内訳は、冷凍食品が約180億円(40%)、チルドが約124億円(27%)、惣菜が98億円(22%)、手作りが49億円(11%)となっている。冷凍食品のうち、101億円(22%)はすり身焼売で肉焼売は82億円(18%)だ。今回のリニューアルの最大のポイントは彩りの向上だ。従来、『プリプリのエビシューマイ』は、しっかりとエビを詰めていたものの、外観は白っぽかった。これを改良し、エビの赤身を表面に押し出し、視覚的にもおいしさを訴求する」(カッコ内は構成比率)
「2つめは炒飯だ。消費者が炒飯に求める価値は2つあると考えている。ひとつは、シンプルな具材で炒めたり、味、風味が味わえること。ふたつには、具だくさんで具材由来の味、風味が楽しめることだ」
「ひとつめの価値に対して当社が2015年秋季に発売したのが『ザ・チャーハン』である。感動のおいしさと、『トレインチャンネル』『駅ビジョン』『味の素のスープとのコラボ』『WEBコミュニケーション』『サンプリング』『消費者キャンペーン』『TVCM大量投入』そして『売場での展開』などかつてない圧倒的なプロモーションが奏功し、冷凍米飯ノンユーザーも呼び込み、2015年9月~11月の家庭用冷凍炒飯の売上金額ベースでナンバーワンの座を獲得した」
「『ザ・チャーハン』が40代~50代をメーンに支持されているのに対し、50代~60代と相対的に高年齢層に支持されているのが『具だくさん五目炒飯』である。この見た目、味、食感、具の多さでなければ受け付けないというロイヤルユーザーを多数抱える製品だ。特長は、直火あぶり焼豚、玉子、野菜など7種の具材がしっかり入っていること。また風味豊かな金華ハムの中華だしを使い、パラッと感は残しながらふっくらと仕上げていることだ。今春のリニューアルでは、具を増やしてさらにおいしくするとともに、シャキシャキ食感が楽しめるたけのこを2倍に増量した」
「これら2商品を『あついぜ! 炒飯革命!』のスローガンのもと、継続的にプロモーションを実施し、冷凍米飯市場の活性化に努めたい」
「さて、冷凍食品だからこそおいしい製品づくりということでは、新シリーズ『きちんとおかず』を提案したい。食卓に上がるメニューの中には、『自分ではなかなか作れないが、本当は食べたいもの』が存在する。『角煮』『ぶた肉ミルフィーユ』『ロールキャベツ』『揚げ鶏と彩り野菜の黒酢あん』『チキンかつ』がその展開だ。当社は、こうしたメニューを冷凍食品化することで小容量でもおいしく、時間がなくても出来立てのおいしさが楽しめる製品に仕上げた。このおいしさを実現させたのが革新的な新技術の“濃縮味しみキューブ”だ。下ごしらえされた素材にキューブが最後にとろけて仕上げる。つまり電子レンジで調理して仕上げることで革新的なおいしさを実現した。当面はエリア限定で新潟県、長野県、山梨県、群馬県、栃木県、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、東京都、愛知県、三重県、岐阜県、静岡県、石川県、富山県、福井県の1都16県で発売する」
「そして最後に紹介したいのは、『旬の果実のグラノラ』だ。彩り鮮やかで食感のよい甘い果実とザクザクのグラノラがセットになったフルーツデザートの冷凍食品で『ベリーミックス』と『トロピカルミックス』の2品種を発売する。製品開発には『Mart(マート)』誌の読者の意見を採用した。旬の時期に収穫したフルーツを急速凍結することで1年中食べごろのおいしさを味わえる。店舗では冷凍食品売場のみならず、アイスクリームの売場でも展開可能だ」
「こういう新商品の発売に加え、2016年春季は『“冷活”をもっと身近に!』ということで、生活者のライフスタイルやニーズに合わせ、そのまま利用とアレンジでの活用提案を継続していく」