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許す。でも忘れない

 食材偽装の発覚と謝罪会見が続いている。

 阪急・阪神ホテルズが謝罪会見を開いた時には、各社は他人事だと傍観していたのだろう。しかし、調査してみると、出るわ出るわ…。慌てて、偽装や誤記の事実と謝罪を発表した。11月1週目は、多くの企業が同じような発表をしており、それらがどこであるのか一々覚えてはいられないような状況になっている。

 

 一連の食材偽装事件の発覚と謝罪会見を見ていて思い出したのは、2004年に起こった国会議員の年金未納問題への対応だ。

 

 小泉純一郎内閣(当時)の17閣僚(首相を除く)のうち7人が未納であったことが発覚し、その中の1人であった福田康夫内閣官房長官(同)は役職を辞任。それ以降、100人超の国会議員の未納が発覚した。

 しかし、現在、私が覚えているのは、福田康夫氏と民主党の菅直人代表(同)が「年金未納三兄弟」と槍玉に上げ非難した麻生太郎総務大臣(同)、故中川昭一経済産業大臣(同)、石破茂防衛庁長官(同)の3人。さらには、自分も“同じ穴のムジナ”だったことが発覚し、代表を辞任、「お遍路さん」として四国八十八箇所めぐりを開始した菅氏の5人だけだ。

 

 同じような過ちを犯して、同じように発表しても、将来の記憶の中に刻み込まれるのは、最初に発覚したか、目立った動きをした企業や人だけだ。

 結局、ビートたけしさんの名言「赤信号みんなで渡れば怖くない」はその通りなのであろう。

 

 とかく人の記憶とは曖昧であり、いい加減なものだ。

 国民や消費者の立場としては、「許す。でも忘れない」スタンスを持ち続けることが大切なのだと思う。