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禁錮1000年

 アメリカのオハイオ州で約10年間にわたって女性3人が監禁された事件で、裁判所は、容疑者の男に対して、禁錮1000年の判決を言い渡した。

 

 禁錮1000年――と聞くと、普通の日本人は、不思議だと思う。

 政治的な恩赦や模範囚として減刑されても、刑期がゼロになることはないと考えるからだ。もはや絶対に出所することができない刑であるならば、十把ひとからげで無期刑として一本化してしまえばいい。

 実際、日本の有期懲役は最長20年。複数の犯罪の加重による併合罪でも最長は30年であり、その次は無期懲役や死刑となる。

 

 ところが、欧米の発想は、日本とは大きく異なる。

 きっと、犯した罪の重さを定量化して数字として認めさせ、反省させるという意図があるのだろう。過去には、禁錮刑14万年の例もあるほどだ。

 もちろん、減刑も定量化しており、良いことをすれば、数字は減っていく。しかし、数字が大きくなればなるほど、どんなにあがいても出所できなくなっていく。そんなのは自明の理だ。

 

 禁錮1000年を不思議に思える感覚は、現行の法制度の慣れから来るものか、日本で生まれたことに起因する元来の特性か、定かではない。

 けれども、日本では、非常識的に思える数字が常識である世界が厳然と存在するのだから、文化の違いとは恐ろしいものである。