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ヤンキースに学べ

 すっかり夏休み休止の状態になっております。今日も1本アップします。

 

 2012年に現役引退を表明した松井秀喜さんは、ニューヨーク・ヤンキースと1日限定のマイナー契約を結び、今期のヤンキー・スタジアム(ニューヨーク)開催55試合目に当たる7月28日、引退セレモニーを行った。

 日本の野球ファンは、ヤンキースが他球団で現役を終えた松井さんの引退式典を開催したことに「粋な計らい」と大喜びだ。

 

 しかし、天邪鬼な私は、ヤンキースの商魂のたくましさにのみ目がいってしまった。

 

 周知のとおり、松井さんは国民栄誉賞を受章し、日本一の人気球団である東京読売ジャイアンツの次期監督に噂されている“大物”である。ヤンキースにとっては、イチロー選手ともども、視聴率の取れる日本人であり、大切なOBとして認知することは今後の放映権料交渉を考えても損はない。

 

 しかも、引退セレモニーであらば、興業的には1試合で元が取れるだろうし、日本の多くの野球ファンからは感謝されるから、アマチュアを含む日本人選手のスカウティングにおいてもヤンキースはアドバンテージを得ることになる。

 

 また、将来的に“日本市場”攻略を考えるにおいても、このコネクションを松井さんが在籍していたロサンゼルス・エンゼルスやオークランド・アスレチックス、タンパベイ・レイズといったメジャーリーグの他球団に簡単に渡してしまう手はなかったのだろう。

 

 その意味では、引退式典は、ヤンキース、松井さん、日本や米国の野球ファンやメディアなどほとんどの関係者にとってプラスに作用したと言っていい。

 そして、その商機を見逃さなかったヤンキースは、単純に商魂がたくましいだけではなく、関係者にも得をさせる商売人として輝きを放っている、と評価したい。

 

 一方、我々の小売業界に目を移して見れば、今回のヤンキース同様、“商売のタネ”というのは、実は至る所に転がっているような気がする。

 大事なのは、それに気づくかどうか、それを具体的な商売につなげられるかどうか、であることだとヤンキースは教えてくれる。