「紳士淑女のスポーツ」としてテニスを楽しもうとするのであれば、やはり普段着使用のTシャツやポロシャツではなく、ちゃんとテニスウエアを着用してプレーしたいものだ。
現在、テニスウエアには、実に様々なブランドがある。
総合スポーツグッズメーカーのブランドとしては、「ナイキ」「アディダス」「プーマ」など。テニスラケットなどのギアメーカーのブランドなら「ウィルソン」「ヨネックス」「プリンス」「ヘッド」「バボラ」「ダンロップ」「ブリヂストン」…。そして、アパレルメーカーのブランドもあり、「タッキーニ」「エレッセ」「フィラ」「ウィンブルドン」が発売されている。
最近はファストファッションからの参入もあった。この分野の雄であるユニクロ(山口県/柳井正社長)は、国枝慎吾選手、錦織圭選手や世界ナンバーワンプレイヤーのノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)と契約して、テニスウエア市場への本格参入を果たし成功を収めている。
この動きに相当刺激されたのだろう。ユニクロの本格参入から1年を開けることなく、即座に反応したファストファッション企業がある。
スゥエーデンに本拠を置くH&M(ヘネス&マウリッツ)だ。
同社は世界ランキング6位(5月13日現在)のトマス・ベルディフ選手(チェコ共和国)にウエアを供給し始めている。
昨日まで行われていたBNLイタリア国際男子(シングルス)では「H&M」のロゴマークの付いた白のウエアとキャップを着用。一昨日の準決勝で世界5位のラファエル・ナダル選手(スペイン)に2-6、4-6でストレート負けを喫してしまったが、そのウエアに刻まれた「H&M」の文字は強烈な印象を残した。
かつて、ユニクロの柳井社長は、「いまや世界中の市場は、国や地域としての特性がなくなり、グローバルな単一市場に変わってきたと思う。とくに最近、この傾向は顕著だ。たとえば、世界の“ハイストリート”、世界の主要な繁華街やショッピングセンターに店舗展開しているのは全て同じメンバーだ」と話した。
この流れは現在も同じであり、同じメンバー同士による競争は、主要な繁華街やショッピングセンターを飛び出し、テニスウエアやスポーツウエア…それだけでなく潜在需要を期待できるありとあらゆるカテゴリーに飛び火していくものと予想できる。
ということは、ユニクロがアダム・スコット選手(オーストラリア)と契約してゴルフ市場への参入を決めたように、近い将来、「H&M」がゴルフ市場に参入する可能性は極めて高い。
また、同じファストファッション企業である「ZARA」「FOREEVER21」「GAP」「OLD NAVY」「AMERICAN EAGLE OUTFITTER’S」などが、様々なスポーツウエアマーケットに本格進出するのも時間の問題だろう。