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好調ジーユーの足跡

 ファーストリテイリング(山口県/柳井正社長)の事業会社、ジーユー(東京都)の柚木治社長にインタビューした。

 柚木社長と言って、真っ先に思い出されるのは、2002年に鳴り物入りで新設した会社のエフアールフーズだ。「SKIP」(スキップ)ブランドで、野菜事業に参入するものの、短期間での撤退を余儀なくされた。

 

 この件について、ファーストリテイリングの柳井社長は、「『SKIP』では、約20億円の損失を計上しました。だから柚木に言ったのは、『これを10倍にして返してくれ』(笑)」と発言している。

 

 捲土重来。

 柚木社長の舵取りによって、現在、ジーユーは好調に推移している。

 2012年8月期の営業収益は580億円、営業利益は50億円。「ゆるパン」や「マキシワンピース」がヒットし、既存店舗の売上高は対前期比35%増と驚異的な数字を残している。

 

 ただ、ここに至るまでの道のりは、茨の道の連続だった。

 

 柚木社長によれば、現在のビジネスモデルは5代目なのだという。

 

 2006年の創業時は、ODM(Original Design Manufacturing:委託者のブランドで製品を設計、生産)を軸に低価格のファッション路線を打ち出した。しかしうまくいかない。

 

 即座に路線変更。次はベーシック路線を行くユニクロの廉価版だった。しかし、これはユニクロ価格の7掛けしか打ち出せず、消費者には響かなかった。

 

 そこで3代目として、ユニクロ廉価版を踏襲しながら、半額からそれ以下の価格で販売した。990円ジーンズに象徴される路線だ。これが一時的にブームとなって大ヒット。しかし、ブームは長くは続かず、やがて失速し、行き詰まった。

 

 打開策として再度、ファッション路線に変更。2011年春に「be a girl」(ビー・ア・ガール)というスモールコレクションを実験的に立ち上げた。「多品種少量生産」の売り切れ御免という典型的なファッションビジネスだった。思惑通りに、これが大ヒットして、新しい成長に向けての糸口をつかんだ。

 

 この「be a girl」の成功受け、現在は、品番を絞り込んで大量生産しながら、ファッション路線を貫くというビジネスモデルに専心している。

 

 好調ジーユーの希望的成長カーブは、「10年後、売上高1兆円」だ。

 

 インタビューの最後に柚木社長に「損失の10倍返済はいつごろですか?」と聞くと、真剣なまなざしで「3~4年かなあ」と答えた。

 

 なお、柚木治社長のインタビューは『チェーンストアエイジ』誌2012年11月15日号で掲載予定です。