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国際競争、低価格競争

「いまアジアでは世界の強豪が集結してビジネスのオリンピックが毎日開かれている」。

 昨日のBLOGで取り上げたように、ファーストリテイリング(山口県)の柳井正社長は、流通業界も本格的な国際競争時代に突入したことを強調している。

 

 この新しい時代に備えて、「ユニクロ」を欧米やアジア各国に大量出店していることは、すでに記した。

 

 柳井氏は、将来に向けた世界共通のトレンドは低価格志向であると断言する。

 確かにその通りで、ファッション業界だけに目を向けても、「H&M」「ZARA」「forever21」…低価格ブランドの元気がいい。

 

  柳井氏は、世界のあらゆる人々が消費生活を楽しみ、市場が平準化する中にあっては、低価格志向はさらに強くなると予想している。

 

 実際、ファーストリテイリングの中で、現在、もっとも勢いのあるブランドが「ユニクロ」のセカンダリーラインである「g.u.(ジーユー)」なのだという。

 売価はユニクロの2分の1。この3月30日には、銀座(東京都中央区銀座5-7-7)に「g.u.」最大規模となる国内3店舗めのグローバル旗艦店をオープンさせ、将来的には「ユニクロ」との共同出店などによるグローバル展開を進める考えだ。

 

 ただし、「低価格だけでは売れない。価格以上の値打ち、その商品としての能力(品質、デザイン、素材、シルエット、着心地)を備えることが必要」と自戒も忘れていないことを付け加えておきたい。

 

 さて、国際競争に挑む日本流通業のプレイヤーということでは、ファーストリテイリングのほかには、イオン(千葉県/岡田元也社長)グループが真っ先に思い浮かぶ。「海外」は同社の経営戦略における3本柱の1つだ。

 製造小売業的なアプローチによって、同グループのPB「トップバリュ」の売上高は5000億円に到達する規模になった。NB並みの品質、リーズナブルプライスは大きな支持を集めていると言えるだろう。

 

 現状、トップバリュの価格帯は、大まかに言って3層構造になっており、高額帯の「トップバリュ プレミアム」「トップバリュ セレクト」、中価格帯の「トップバリュ」、低価格帯の「トップバリュ ベストプライス」から構成されている。

 

 ただし、売上高のほとんどは中価格帯の「トップバリュ」が稼ぎ出しており、他のブランドは飛躍的に大きく増えているわけではない。

 

 ということは、今後の世の中の趨勢も勘案すると、イオングループは衣食住全部門において、国際競争にも勝ち得る「トップバリュ ベストプライス」の開発に力を入れていく、と予想できる。それにともない、日本の商品価格はさらに下がって、低価格競争はさらにさらに厳しくなると考えられる。