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後継者問題(1)

 カリスマ。

 ギリシア語で「神の賜物」を意味する。かのマックス・ウェーバーは、「神の賜物」のごとく非凡視され、超人間的資質を有する者とそれに帰依する者との結合をカリスマ的支配と呼び、支配類型のひとつに位置づけた。

 チェーン企業の創業者たちの多くは、生前のサム・ウォルトンよろしくその企業内において、カリスマ視されている。だが、カリスマは絶対性の裏側では、同時に脆弱性も備わっていると言われる。

 

「(特にカリスマの後継者問題が浮上してくる頃から)カリスマ的集団は、当初の革命性・純粋性を失い、この世、日常、経済に妥協し始める。カリスマの日常化がこれである。カリスマは集団幹部の地位とそれにともなう利益とを擁護するための看板にかわってゆく。カリスマは新しい伝統と家長制支配とのなかに埋没してゆく」(『マックス・ウェーバー』岩波新書:青山秀夫著)。

 そして、いま、多くのチェーンストアで直面している問題がこのなかにある。

 ことに創業者から後継者へのバトンタッチは、チェーン企業の直近の大問題だ。

 ローソン(東京都/新浪剛史社長)、ファミリーマート(東京都/上田準二社長)、ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)など、見事に引き継ぎを終えた企業も存在しているけれども、本格的な引き継ぎはこれからが本番。「企業は人なり」とするならば、「経営も人なり」。各社の後継者の人選を注意深く見ていたい。