今年のウインブルドンは熱かった。勝利したのはスイス出身のロジャー・フェデラー。なかでも仇敵アンディ・ロディック(アメリカ)との決勝戦は手に汗を握る“死闘”となった。 5-7、7-6、 7-6、3-6、16-14のフルセットでロディックを下した時には、試合開始から4時間16分が経過していた。
これでフェデラーは、全豪、全仏、全英(ウインブルドン)、全米のテニス4大大会の通算優勝回数が15回となり、ピート・サンプラスの14回を上回り、史上第1位となった。ビョルン・ボルグ(11回=4位)、ジミー・コナーズ、イワン・レンドル、アンドレ・アガシ(8回=7位)、ジョン・マッケンロー(7回=12位)と書けば、この記録がいかに突出しているかが分かるだろう。
テニスプレイヤーがトッププロでいられる時間は短い。サンプラスが引退したのは32歳、レンドル34歳、アガシ36歳、マッケンローは33歳。コナーズの引退は44歳だが最後に4大大会を勝ったのは31歳の全米。またボルグは闘志を失い27歳で引退している。
そして、現在、27歳のフェデラーにもすでに衰えは見え始めている。故障療養中のラファエル・ナダル(スペイン:23歳)を筆頭に若手の台頭も続々だ。
「人間の能力には大差がない」というのが持論なので、記録がさらに大きく伸びることはないかもしれないが、フェデラーがテニス競技史上最強の天才プレイヤーであるところをまだまだ見たいものだ。