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ある医師の生き様に現場主義の大切さを見る

 「患者さんを診ていないとただの人になってしまうんです」。笑顔で話すのは、今春、慶應義塾大学医学部血液内科教授に就任した岡本真一郎さんだ。大学での岡本さんは、臨床医療をとくに重視してきた。患者としっかりと向き合って、検査をし、会話を交わし、最適な治療法を選ぶためだ。いまも週に2回は最前線で外来患者の診察をする。

 

 山口百恵が主演したドラマ『赤い疑惑』(1975年)では、白血病は“不治の病”と位置づけられ、ヒロインの山口も最終回では帰らぬ人になってしまう。

 

 岡本さんが長年闘ってきたのは、その白血病など血液の病だ。骨髄移植を手がけた回数は1000回を超え、この分野の第一人者であることは誰もが認めていた。だが、臨床を軸とする仕事のやり方に、「学者としては?」「教授としては?」と疑問を投げかける声もあがったという。

 

 「医は仁術なり」。患者を治してこそ医師、と門外漢の私はつい思ってしまうのだが、そうではないところもあるらしい。しかし、そんな風評を吹き飛ばして見事、教授に就任した岡本さんに、患者たちも拍手喝采だ。

 

 「教授になっても何も変わらない。いまの医療技術をより発展させたい」と岡本さんは抱負を語っている。現場主義を貫くことの大事さを見せつけられる思いだ。