ある食品スーパーの店舗を訪問して驚いた。
エスカレーター脇の狭いスペースに、ショッピング用キャリーバッグがこれでもかと並べられていたからだ。
持ち主は、徒歩で来店する高齢者たちだ。
キャリーバッグを引いて来店。まず、バッグを“駐車”させてから、車をカートに持ち替え、買い物。精算後に、荷物を詰め替え、帰路につく。
しかし、いまのところ、キャリーバッグの正式な“駐車”スペースは確保されているわけではなく、高齢者が勝手に場所を決めて置いているに過ぎない。
したがって、まずセキュリティの問題が浮上する。
カートを押しての買い物中に、バッグを持ち去られてしまう危険にさらされている。
2つには、度忘れの問題だ。
高齢者ゆえに、自分がキャリーバッグをどこに“駐車”したかを忘れてしまうのだ。実際に、私の滞在中にバッグを探し求めて、彷徨い歩いていた老人を目にした。
3つには詰め替えの問題がある。高齢者は、精算した商品を自分のバッグの“駐車”場まで引いていき、商品を積んでいる。煩わしいことこの上ない。
まだまだ解決すべき問題は少なくないけれども、これら障害を外すことができれば、食品スーパーにとっては、またまたチャンス到来だ。
きれいな色やデザインのバッグを売る機会もあるだろう。詰め替えを不要にする新しい形のバッグ開発にも可能性はある。
さらには、“駐車”スペース確保で、高齢者に安心して買い物を楽しんでもらえることが競合店との相対的優位性につながる。