東日本大震災以前から、福島県の人口は、2005年を境に減少し始め、2035年には76%(対2005年比)になると試算されていた。実に次の30年間で毎年0.9%ずつ人口が減っていく計算だ。
実際、2010年12月31日現在の福島県の総人口は、204万1051人と対前年度比0.65%減だった。
そして今、東日本大震災と福島第一原子力発電所の暴走がさらなる人口減少の引き金になっている。
まず、放射能漏れによる30km圏内の県内外への避難民数は8万人と言われている。
それだけではない。福島県内には、今後、子供をつくらないという夫婦も出始めているという。
放射線の悪影響を真っ先に受けやすいのは妊婦と子供だから、子供をあきらめる。放射線の恐怖から不妊治療をやめる――。そんな夫婦が続出だ。
これまで年間1万6000人ほどあった出生数が減少して仮に7掛けになったとすると1万1200人。2万3000人ほどあった死亡数が横ばいで計算すれば、年間1万2000人のペースで人口は自然減していく。
加えて県外転入が減り、転出が増えると予想できるので、放置しておけば継続的に年間2万人超ほどのペースでの減少は必至。予想を遥かに上回る急激な人口減少は、流通業だけでなく、すべての県内産業がマイナスの影響を与えることになる。
とにかく早く手を打たなければならないことは誰にでもわかる。
このように被災地では、直接・間接的な問題が次々と起こっている。
にもかかわらず、“頼みの政治”はもううんざりというほど政局に明け暮れている。
菅直人内閣に対する不信任決議案は今日の午後の衆議院本会議で採決されるが、被災者支援の援軍は一向に届かない。