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サッポロビール、寒冷地向けの越冬型ビール大麦開発を開始 農研機構と共同研究

サッポロビールの北海道で栽培されている二条ビール大麦
(サッポロビール ニュースリリースより)

 サッポロビール(東京都)は10月27日、気候変動への対応を目的に、寒冷地で夏の高温を避けて栽培できる越冬耐性の強い新たなビール大麦の品種開発を開始すると発表した。

 同社は、北海道における秋播き二条ビール大麦開発の可能性について、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)と共同研究を実施。9月11日に一般社団法人日本育種学会で研究内容を発表した。

 近年、地球温暖化などの気候変動による農作物の品質低下や収穫量の減少が懸念されている。また、極度な高温や乾燥の進行により、ビール原料の安定供給にも影響を及ぼす可能性が指摘されている。

 現在、北海道で栽培されるビール大麦は本州の秋播きとは異なり、北海道の厳しい冬に対する耐性を持っていないため、春播きで栽培されている。しかし、7月上旬の登熟期の局地的な大雨や、7月下旬から8月にかけての収穫期の高温の影響を受け、穂発芽や赤かび病、細麦化などのリスクが高まっているという。

 今回の研究では、サッポロビールと農研機構が保有する152種類のオオムギを秋播き条件で栽培し、越冬性や病害リスクを検証。水はけ条件、病気対策の有無、播種時期(9月下旬・10月中旬)を変えて試験した結果、水はけが良く病害対策を行い、9月下旬に播種する条件で北海道の冬を越せるオオムギを複数確認。その中には二条ビール大麦も含まれており、秋播き適性を持つビール大麦品種の開発可能性が示された。

 秋播きが可能な品種を実現できれば、比較的穏やかな初夏に収穫を迎えることができ、気候変動による品質・収量への影響を軽減できると期待される。

 サッポロビールは今後、農研機構と連携して遺伝資源の探索を行い、秋播きが可能なビール大麦の品種開発を推進し、2035年までに新品種の登録出願を目指す。今後は、北海道のみならず気候条件の近い北米地域での実用化も視野に入れるとしている。

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