【ワシントン時事】米商務省が7日発表した2023年の貿易統計では、米中対立の激化を背景に中国からのモノの輸入が大幅に減少した。国別ではメキシコに抜かれ、2008年以来15年ぶりに首位から転落。米国が進めるサプライチェーン(供給網)再編により、モノの流れに変化が生じている現状を示した。
23年の中国からの輸入額は前年比20%減の4272億ドル(約63兆円)。輸入額全体に占める比率も約14%と、20%を超えていた5年前から大きく低下した。工業製品から消費者向け製品まで幅広い品目が減少。輸出入を合わせた米中間の貿易額も縮小した。
一方で、米国と貿易協定を結ぶメキシコやカナダ、米国が中国の代替地として期待するベトナムは、輸入額全体に占める比率が上昇傾向を示しており、存在感を増している。
バイデン米政権は、トランプ前政権が18年以降に導入した計約3700億ドル相当の中国製品に対する制裁関税の多くを維持。半導体など重要物資については、友好国と供給網を築く「フレンド・ショアリング」を掲げ、中国依存の軽減を進めている。
米国では与野党ともに対中強硬姿勢を強めており、政権内部では自動車や太陽光発電設備などへのさらなる関税引き上げ案も浮上。米中貿易の縮小が続く可能性もある。