クリスマスやバレンタインデーに向けて需要が高まるチョコレート。原材料のカカオ豆は、主要産地である西アフリカのコートジボワールとガーナが天候不順で深刻な不作となり、12月には価格が昨年末より6割以上高くなった。製品価格への転嫁は避けられず、既にエネルギー高などで値上がりしたチョコは、2024年に一層「苦み」を増しそうだ。
12月の米インターコンチネンタル取引所では、昨年末に1トン当たり2600ドルだったカカオ豆先物の指標価格が、一時4300ドルを超えた。国内のカカオ豆トレーダーは、原料の在庫があるため、国内価格への反映は早くて6カ月後と指摘。「一般的なチョコの場合、カカオだけで10%以上の値上がり要因になる」との見方を示した。
世界的パティシエの辻口博啓氏は、「カカオ豆だけでなく、いろいろな物が値上がりし過ぎている」と表情を曇らせる。中国やインドなど経済成長の著しい新興国でチョコの需要が急増したことも、原材料高騰を招いているという。
洋菓子店の生き残り競争は厳しさを増す。辻口氏は、「ここでしか買えないコンセプトを理解してくれる消費者が多く、値上げしても売り上げが大きく落ちることはない」と自信を見せた。
大手菓子メーカーも状況は甘くない。江崎グリコは今年2月に主力商品を値上げし、「ポッキーチョコレート」の店頭参考価格は約10円上がった。さらに、来年2月出荷分から内容量を約5%減らす実質値上げも実施する。
嗜好(しこう)品であるチョコは、節約の対象とされやすい。菓子メーカー関係者からは、「来年も値上げすれば、どこかでチョコ離れを招くのではないか」と不安の声が上がっている。