経済協力開発機構(OECD)は19日発表した最新の経済見通しで、2024年の世界の成長率を2.7%と、6月の前回予想から0.2ポイント引き下げた。インフレ抑制に向けた各国の利上げが景気を冷やすと予想。中国経済の減速も「主要なリスク」になると警鐘を鳴らした。今年の成長率は3.0%に上方修正した。
中国については、24年の成長率を従来予想から0.5ポイント引き下げ、4.6%とした。不動産不況や、消費者の景況感悪化が主因としている。
日本の予想は、今年の成長率を0.5ポイント上方修正し1.8%とした半面、24年は1.0%に引き下げた。同年のインフレ率は2.1%とした。
積極的な利上げを進めてきた米国の24年のインフレ率予想は2.6%に据え置いた。成長率予想は1.3%に引き上げたが、今年の2.2%からは減速すると見込んだ。欧州でも度重なる利上げが響き、ユーロ圏の24年の成長率は前回から0.4ポイント引き下げ、1.1%と予測。ドイツやフランスも下方修正した。
OECDは「金融政策の影響が広がる強さやスピードを巡る不確実性と、根強いインフレが主な懸念材料だ」と指摘。金利上昇の悪影響が予想より大きい恐れがあるとしつつ、インフレ高進が追加利上げを誘発する可能性があると警告した。
◇OECD経済見通し
経済成長率(%)
23年 24年
世界 3.0 2.7
米国 2.2 1.3
ユーロ圏 0.6 1.1
日本 1.8 1.0
中国 5.1 4.6
インフレ率(%)
米国 3.8 2.6
ユーロ圏 5.5 3.0
日本 3.1 2.1
中国 0.5 1.3 (時事)