【ワシントン時事】米労働省が10日発表した2月の雇用統計(季節調整済み)によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月から31万1000人増加した。前月(50万4000人増=改定)から鈍化したものの、市場予想を大きく上回り、米労働市場の堅調さを改めて示す形となった。失業率は3.6%と、0.2ポイント上昇した。
中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は、過熱する労働市場が賃金上昇を招き、根強いインフレをもたらしていることを懸念。21、22の両日開催する会合で、利上げペースを通常の0.25%から0.5%へ「加速する用意がある」(パウエル議長)との見解を示している。
業種別の就業者数は、新型コロナウイルス禍からの持ち直しが続く娯楽・接客が前月比10万5000人増。一方、人員削減が報じられている情報産業は2万5000人減だった。平均時給は前年同月比4.6%増。伸びは前月から加速した。
FRBは人手不足による賃金の大幅上昇が、接客などサービス分野の価格を押し上げていると警戒。賃金の伸びが落ち着き、持続的なインフレ低下が確認できるまで、金融引き締めの手を緩めない方針だ。
◇米雇用統計概要
1月 2月
失業率 3.4% 3.6%
非農業部門就業者数 50.4万人 31.1万人
民間部門 38.6万人 26.5万人
物品生産部門 5.1万人 2.0万人
サービス部門 33.5万人 24.5万人
政府部門 11.8万人 4.6万人
労働時間(週平均) 34.6時間 34.5時間
平均時給 33.01ドル 33.09ドル
平均時給伸び 4.4% 4.6%
労働参加率 62.4% 62.5%
U6失業率 6.6% 6.8%
長期失業者(半年以上) 111.1万人 105.7万人
経済的理由でのパート勤務 405.0万人 406.7万人
【注】▲は減少。「U6失業率」は完全失業者、正社員を希望しているパート労働者、働く意欲はあるが職探しをやめた人を加味した広義の失業率。