総務省が18日発表した10月の全国消費者物価指数(2020年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が103.4と、前年同月比3.6%上昇した。円安などを背景とする食品の値上げラッシュやエネルギー価格の高騰が響き、上昇率は第2次石油危機の影響が残っていた1982年2月以来、40年8カ月ぶりの高水準。政府の物価高対策が「痛み止め」となっても、物価上昇そのものに歯止めがかかるかは見通せず、家計は当面、翻弄(ほんろう)されそうだ。
項目別に見ると、生鮮食品を除く食料が5.9%上昇。原材料価格や物流費の高騰を受け、外食チェーンやメーカーは値上げを相次いで実施。外食のハンバーガーや回転ずしなどが上昇したほか、食パンやチョコレートなど調査対象の9割近い品目が値上がりした。
ロシアのウクライナ侵攻によって資源高に拍車が掛かり、エネルギー価格も15.2%上昇と高止まりを続けている。電気代は20.9%、都市ガス代は26.8%それぞれ上昇した。ガソリン代は補助金の効果もあり、上昇率が2.9%にとどまった。
政府は来年1月に電気・都市ガス料金などの負担軽減策を始め、9月以降は支援を縮小する予定だ。市場は一連の対策で消費者物価が1%強押し下げられると試算。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは消費者物価の先行きについて、「年内は高止まりが続くが、来年以降は政府の負担軽減策次第で乱高下する」と予想する。
物価上昇圧力となっている一方的な円安・ドル高も、このところは一服感が見られる。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの観測も出ているが、米国のインフレ動向や金融政策次第で為替相場が変動する構図は変わらず、円安基調が反転する保証はない。