【ニューヨーク時事】米ファストフード大手マクドナルドは16日、ウクライナ侵攻を続けるロシアから撤退すると発表した。東西冷戦終結後モスクワに出店した象徴的なブランドは、30年超の営業期間を経てロシアから完全に姿を消すことになる。
マクドナルドは声明で「ロシア事業はもはや継続できず、当社の価値観と合わない」と説明した。既に地元企業への事業売却手続きに着手。売却後は「マクドナルド」のロゴや名称、メニューなどの利用は認めない方針。
マクドナルドは3月上旬、ロシア国内にある約850店舗全店の一時営業停止を決定。従業員約6万2000人への給与支払いは継続していた。
売却先の選定では、雇用維持を優先し、取引完了までは給与の支払いも継続するという。撤退に伴い、最大14億ドル(約1800億円)程度の関連損失を計上する見通し。
ウクライナ危機の深刻化を背景に、ロシアでは欧米企業の撤退や事業停止が加速している。フランス自動車大手ルノーは、傘下のロシア自動車メーカーの売却で合意した。英石油大手シェルも極東サハリン沖の液化天然ガス(LNG)開発事業「サハリン2」などからの撤退を決定。日本企業でも、カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングなど事業停止の動きが広がっている。