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クックパッドが生鮮食品の宅配ボックス「マートステーション」を西武鉄道沿線で設置開始

8月3日、クックパッド株式会社(神奈川県)は、西武鉄道沿線での生鮮食品の受取サービス「クックパッドマート」を8月17日から開始すると発表した。まずエミオ東久留米店(東京都東久留米市)と新所沢ハイツ西武ショッピングプラザ(埼玉県所沢市)の2拠点からスタートする。

みなとみらい線、東急線などに続く鉄道会社とのタイアップ

 今後クックパッドは、西武グループの不動産事業をになう株式会社西武プロパティーズ(東京都豊島区 上野 彰久社長)と連携して「食を通じた西武鉄道沿線地域の活性化」を図る計画で、マートステーションの展開はその第一弾となる。

 クックパッドは料理レシピ投稿サイトの草分けとして有名だが、2018年に冷蔵設備付きの生鮮食品受取サービス「クックパッドマート」を開始、東京都と神奈川県を中心に展開中だ。宅配ボックス「マートステーション」の設置場所は、駅、コンビニ、ドラッグストア、集合型商業施設、マンションなど多岐にわたる。鉄道会社との提携もすでに、みなとみらい線、東急線、京急線、横浜市営地下鉄でスタートしている。

ユーザーを拡大するクックパッドマート

 「クックパッドマート」の仕組みは、消費者がスマホアプリで買物をし、共同配送車がオーダーを受けた生産者・販売者から商品を集めて、指定された「マートステーション」に配送するというものだ。消費者は好きな時間に冷蔵された食品をボックスから取り出せる。ボックスはQR錠で施錠されていて、購入者はアプリからQRコードで解錠する。アプリには地域の生産者の野菜や豆腐、鮮魚店の魚などが掲載されるので、消費者は「馴染みの店のお気に入りの商品」を、買回りする手間をかけずに購入できる。

 クックパッドマートの最大の特徴は、1品でも配送料が無料だということだ。これは、配送車が生産・販売者を回って集荷し、指定のボックスに収納する「共同配送システム」によって実現した。道の駅や直売所のように、生産者が商品を店まで運ぶ手間もかからない。さらに、前日21時までにアプリで買物をすれば、翌日昼12時以降には受け取れるのも大きな特徴だ。朝どりの野菜、獲れたての魚、加工したての肉を「市場で買う」鮮度感をECで実現したことになる。

 主なユーザー層は単身者や共働き世帯で、「忙しい毎日でも、日常の美味しいご飯を用意したいと考えている都市生活者」をターゲットに設定している。食を大切にしたい気持ちがあるが、買い物に時間が割けない、店舗が開いているときに時間が取れない消費者のフラストレーションに応えるのがこのサービスの狙いだ。その中でも、町の精肉店、鮮魚店、八百屋など、地域の生産者から購入する習慣や価値観を持つユーザーにはうってつけのサービスだという。人気商品は、各生産者が作る野菜セット(500円程度で4−5種類の野菜が入っているものなど)や、横浜の「老舗鶏肉専門店 梅や」の鶏肉や焼き鳥串などだ。

販売者にもメリットの多いシステムで、沿線の生産者に出店を呼びかける

 クックパッドは、この度の西武鉄道との連携に当たって、沿線の生産者・販売者に参画を呼びかけている。対象は、地域の農家、卸売市場の仲卸、商店街の専門店、飲食店や総菜店などの「食のつくり手」だ。

 西武鉄道には、池袋線と新宿線を中心に東京と埼玉をつなぐ沿線があり、沿線内には、広大な農地面積を有する練馬区や、埼玉県飯能市・秩父市などの農業地域も多くある。生産者・販売者は、初期費用・固定費無料でクックパッドマートに出店できる。煩雑な梱包や発送の手間が要らないのもメリットだ。

 コロナ禍を追い風に伸びる非接触サービスの中でも、クックパッドマートは消費者と地域の生産者・販売者を結びつけて、地域を活性化する効果が期待できる。この度の西武鉄道との連携など、鉄道会社とのタイアップはとくにその可能性を秘めているといえるだろう。