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北陸のスーパー「アルビス」がネットスーパーを今秋開始 10X社の「Stailer」を導入

コロナ禍でネットスーパーの需要が高まる中、北陸エリアの大手食品スーパーチェーン「アルビス」(富山県/池田和男社長)が、今秋に店舗受取型のネットスーパーを開始する。アルビスが導入するECシステムは、10X(テンエックス:東京都/矢本真丈社長)が提供するStailer(ステイラー)で、イトーヨーカ堂、ライフなどのスーパーや薬王道などのドラッグストアでの導入実績がある。

消費者はアプリで買い物、店側は在庫・ピックアップを一括管理

 アルビスは、北陸を中心に岐阜県・愛知県などで計63店舗を展開する北陸トップシェアの食品スーパーで、1992年に「北陸スーパー」と「チューリップ」が合併して誕生した。21年3月期の連結業績は、営業収益が前期比7.9%増の942億円、営業利益が65.0%増の17億円を計上した。4月30日に発表した3カ年の中期経営計画では、重点施策の1つとして「ネットスーパー事業の開始」を掲げている。

 8月6日に10Xが発表したプレスリリース「アルビスでStailer導入決定」によって、アルビスのネットスーパー事業計画がすでに具体化されつつあることが明らかになった。Stailerは、チェーンストア向けのECプラットフォームで、顧客はスマホアプリから「店内」に入り、リアル店舗と同じように商品を「買い物カゴ」に入れていく。販売サイドには、本部、店舗、配送業者それぞれに向けたオペレーティングシステムを一括して提供する。販売サイドも、アプリで簡単に在庫管理や商品ピックアップ作業を行なえるのが特徴。全店舗での垂直立ち上げも可能だ。

店舗受取型ネットスーパーでコロナ禍の巣ごもり需要を喚起

 ネットスーパーには店舗受取型と配送型があるが、10Xの発表によるとアルビスでは店舗受取型になる予定だ。アルビスの中期経営計画では「ネットスーパー事業の開始」のほかに「ID-POS を活用した One to One マーケティングの実現」を重点施策として掲げている。ID-POSとはポイントカードの提示などで購入者を特定するシステムだが、Stailerの導入によってアプリ利用者のIDが特定されるのはもちろん、One to One マーケティングのためのデータも蓄積されていくことになる。

 新型コロナウイルスの終息がなお不透明で、直近では百貨店の食品売場で大規模なクラスターが発生したというニュースもある。リアル店舗での食料品の買い回りに不安を感じる消費者が増える中で、アルビスの「今秋からのネットスーパー事業の開始」は、絶好のタイミングと言えるかもしれない。