アークスの横山清社長にインタビューする機会を先週得た。御年83歳とは到底思えない、テクノロジーに対する鋭敏な理解と肌感覚に驚かされた。
横山社長は、現在の小売業が直面している変化は、セルフサービスとチェーンストアオペレーションの発明に匹敵するものだという。上記2つの発明により誕生したスーパーマーケットが、当時席巻していた市場(いちば)から売上のほぼすべてを奪ったように、「業界のあり方、買い物の仕方が一変する大革命が起こる」と横山社長は語る。
その際の言い回しはまさしく横山節で言い得て妙。「これまで我々は“棍棒”を振り回して戦っていて、いままさに“弓矢”が開発されようとしている」とあえて旧石器時代に話をなぞらえたのだった。
このことから言えるのは、最新技術は確かに脅威だが、その技術がどこに向かっているのか、その特性は何かを見定められれば、技術を使ってみる側に回ることができるということだ。
そのうえで、“技”だけでは競争に勝てない、接客を通した“心”が必要と考えた横山社長は、アークスの2018年のスローガンとして「お客様第一主義、技術的特異点に備えて全社が心技一体で贏(か)つ」としているのである。(A)