コロナ禍の低迷から回復を果たしたコンビニエンスストア(CVS)業界だが、店舗間競争の激化により、かつてのような新規出店による成長が難しい状況に変わりはない。そんななか各社とも新しい成長施策を打ち出しており、とくに注目が寄せられているのがリテールメディア事業だ。大手3社の直近の取り組みをまとめた。
ファミマはサイネージ1万店体制へ、リーディング会社めざす
リテールメディアとは、顧客の購買データあるいは行動データといった、小売業が独自に収集・所有するデータ、いわゆる「ファーストパーティー・データ」を活用して広告を配信する手法のことを指す。「メディア(広告媒体)」となるのは、店舗やスマホアプリ、ECサイトなど小売業が従来持っている顧客接点だ。
アマゾンやウォルマート(Walmart)をはじめとした米小売企業の牽引により、米リテールメディアの市場規模は約6兆円規模まで成長しているといわれることや、世界的な「サードパーティーCookie(※)」規制の流れから、小売企業のファーストパーティー・データを活用したターゲティング広告・販促に注目が集まっていることなどから、日本でも大手小売業を中心に市場参入が加速している。
小売業のなかでもCVSは、リテールメディア事業における競争優位性が高いと見られている。圧倒的に多くの店舗数とリアルな顧客接点を持つからだ。
こうしたなか先行して大きく動き出しているのがファミリーマートだ。20年の秋頃から店舗へのデジタルサイネージメディア「FamilyMartVision(ファミリーマートビジョン)」の設置をスタート。19年7月から開始した独自決済機能付きスマホアプリ「ファミペイ」によるデジタルでの顧客接点も活用し、売場と連動した販促施策や広告配信などを行っている。
親会社である伊藤忠商事(東京都)とともに専門の事業会社を立ち上げている点も特徴的だ。21年9月にはゲート・ワン(東京都)を、さかのぼる20年10月には、NTTドコモ(東京都)とサイバーエージェント(東京都)の計4社でデータ・ワン(東京都)を設立。データ・ワンがデジタル広告代理店となり、ゲート・ワンはその媒体者としてサイネージ設置店舗の拡大や広告メニューの充実に取り組む体制をとっている。
サイネージの設置店舗数は
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