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グローバル先進事例に学ぶ!SAS流通ソリューションによる『AI/アナリティクス経営』の 実現アプローチ

流通業の需要予測や価格最適化などにAI活用進む

AIに任せるのではなく、AIを上手く活用すること

 SASのAI技術を使ったアナリティクスサービスは、金融業では日本でもメガバンクや保険会社、不正検知や信用調査、医療分野では新薬の開発や診断予測など、公共と製造・エネルギー分野ではスマートシティーや品質最適化などに活用されている。これから紹介する小売分野でも採用する企業が増えており、グローバルで1200社以上が採用している。
 外部の評価機関によるSASアナリティクスに対して、機械学習や予測分析、顧客分析とCRM、企業の分析プラットフォームなどについて、現在のソリューションと将来の展開についていずれも高い評価を得ている。

 流通業は複雑化する消費者への対応や、食品ロスなど社会課題への対応、人手不足とコスト増への対応など、デジタルトランスフォーメーションなど変革を迫られている。その一方で、アマゾンがフロリダのハリケーンの際に水の需要が高まったことでAIが判断して価格を上げたケースや、日本でもイベントのダイナミックプライシングで同等の席のチケットで1万円の価格差が出て批判を浴びる事象も発生した。

 AIの発展段階で過剰な期待をかけたために、既存のビジネスに影響が出るということも認識しておく必要があるだろう。このように感情に左右される場合や、全くの新商品の予測はまだ難しい状況だ。AIに任せるのではなく、うまく活用することで業務の高度化・効率化を実現するアナリティクスの発展形を目指すべきである。

ネスレは需給計画の効率化と精度向上を目指す

 アナリティクスにはデータを可視化することを目的とした分析、次に原因と結果の関係性の分析、そして将来を予測する分析、最後に予測に対して最適解を導き出す「最適化・指示的アナリティクス」がある。この最後の段階を高度化・自動化するのがSASの考えるAIである。
「見える化」から原因分析のための「診断」、その次に「予測」、最後に「自動化による意思決定」という段階的なアプローチが必要になり、そして意思決定の精度向上と他業務への最適化・自動化の水平展開が次のステップとなる。

※講演資料より掲載(クリックで拡大)

 ネスレは2015年からSASソリューションを活用し、まず需要予測をベースにした需給管理のプロセスを構築した。販促計画と連動した需要予測モデルを作るのが大きな目的だ。そして2019年4月にリリースしたが、現在、予測精度の向上に向けた需給管理プロセスの効率化を進めている。

 予測精度を上げるためのプロセスは、2015年の段階では単品ごとの需要予測だけだったが、その場合、同種の自社製品との競合などが精度の悪化をもたらしていた。そこで、カテゴリー別、製品別、パッケージ別、SKU別の高度な予測モデルを構築。さらにそれぞれの階層間での調整を行い予測精度を高めた。また、需給計画担当者による予測の修正実績も考慮した予測を算出することで、作業ボリュームを47%も削減できた。

カルフールは需要予測をサプライチェーン全体で共有

 カルフールはサプライ・チェーン・マネジメント(SCM)の高度化を目的にSASソリューションを導入している。2018年から実証実験を行い2020年には本格稼働する予定になっている。カルフールでも対アマゾンに躍起になっており、Googleと提携してGoogleホームやGoogleアシスタントを使って食料品の販売を行ったり、オンライン注文から約30分で店舗から配達できる仕組みを構築している。これらの施策の効果を高めるためには、柔軟な商品供給プロセスが不可欠であり、その支援をSASが行っている。

 まだ構想段階だが、カギになるのは需要予測をサプライチェーン全体で使おうという考え方で、店舗やECサイトでの販売量を見て販売計画・販促計画を立て、店舗では自動発注を実現する。倉庫・DCサイトでは今までは受発注データを使っていたが、川下の顧客情報に基づいた発注情報から受発注の状況や在庫情報、入荷の情報を連動させて在庫のアロケーション適正化、在庫の発注計画の作成といったプロセスを構築する。

 これも予測的アナリティクスと最適化・指示的アナリティクスを組み合わせて実現しようという事例になり、ここでは従来型の時系列予測だけではなく、ニューラルネットワークなど深層学習を用いた需要予測にチャレンジしている。

アディダスはマークダウンの最適化予測に活用

アディダスでは欧州27カ国に展開する、ファクトリーアウトレットとECサイトで、約4万アイテムの価格最適化にSASソリューションを導入している。

 以前はExcelベースの集計結果を基に、国ごとに違うアディダスのブランド力や価値、商品力、ライフサイクルを考慮しながら価格弾力性や在庫の推移をみてマーケティング計画を立てていた。しかし全ての商品に適用できず、多くの場合シーズン終了での価格引き下げを行う結果となっていた。

こうした問題をSASソリューションで売上予測、在庫の推移予測、価格弾力性などのデータと、販促予算やマークダウンの計画の中で最適化計算を行い、シーズン終了間際には収益を最大化するための方法を店舗別、アイテム別に予測し、現在は7~8割を自動で計画立案ができるようになった。

 また、リアルタイムアナリティクスの実証実験も進めている。時間別の来客データの場合、過去の来客データだけでは正確な予測が難しい。天候や近隣イベント、交通事情など変動要因はたくさんある。

 チャレンジしているのは、その変動要因となるデータをリアルタイムで収集することと、店内をセンシングしてできるだけ多くの情報を集めること。前日までの予測を、リアルタイムデータにより補正していくことで、当初の予測との乖離を検知し、その後の乖離の総量を推定することが可能と考えている。

※講演資料より掲載(クリックで拡大)

各プログラムの詳細

下記画像リンクから、各プログラムの詳細をご覧いただけます。