「ローソンデジタルイノベーションで描く“次世代型コンビニ”の未来」 データ分析力の高度化で実現する顧客体験の向上

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ビッグデータ分析からマネジメントサイクルも短縮化

株式会社ローソン 理事執行役員 経営戦略本部 副本部長(兼)次世代CVS統括部長  秦野 芳宏 氏

データを起点に顧客の価値観を把握

 データの分析・活用を基にした店舗運営のポイントとしては、①ビッグデータによるマネジメントサイクルの変化②データに基づくパーソナライズによる顧客体験の向上③リアルタイムデータの活用の3点を重視している。

 売上増大のためには販売計画の精度が求められる。その基になる需要予測の精度を高めることはテクノロジーでカバーできるが、「そもそも顧客に商品を届けるにはストーリー、シナリオがあって販売計画が意味を持つ」。そのため、成り行きまかせの通常の動きを起点にするのではなく、市場の動向に合ったシナリオ起点のデータ分析に基づいて販売計画を策定している。

 ビッグデータによるマネジメントサイクルの変化については、販売などのデータをリアルタイムで見られるようになってきたことで、1年単位の計画では遅すぎるし、従来の1か月単位で立てていた計画でも「現在では週1回、意思決定する」ことを重点にサイクルを短縮化している。ローソンでは毎週、約100種類の新商品を投入している。売れたかどうかの理由はわからなくても販売結果は出るため、マネジメントのサイクルを短縮化して週1回の意思決定で対応するようにしている。

 データに基づくパーソナライズによる顧客体験の向上にも努めている。取得できる顧客
データが増大するとともに、顧客を理解するための分析に関わるコストも下がっている。販売実績データだけでは顧客が買わなかった理由はわからない。店舗の運営現場は顧客に近いことから、本部が知らない状況を把握している場合もある。そこでパーソナライズの精度を高めるためにPonta会員のパネラーに対してアンケートを実施して得られたデータも活用して顧客体験の向上に役立てている。

 ID・POSで取得した顧客データは、性別・年代で括りMDに生かすのが一般的である。
しかし、顧客の属性だけでは判断できないケースは多い。一定の枠に当てはめたデータが、必ずしも実態を反映しているとは限らない。そのため「顧客体験向上には顧客の価値観に向き合う」ことが必要だ。例えば、商品開発においても、対象となるターゲットを広くとるのではなく、顧客の価値観によって分析したデータに基づいてパーソナライズされた商品開発がヒットする場合も多い。さらにデータ活用が進むことでパーソナライズは可能になってくるが、「データは鮮度が大事」である。顧客の価値観をより深く理解するためには今後、リアルタイムデータの活用の重要性が増してくる。

各プログラムの詳細

下記画像リンクから、各プログラムの詳細をご覧いただけます。

SAS Institute Japan株式会社 ソリューション統括本部 製造・コンシューマーインダストリーソリューション統括部 コンシューマーインダストリーソリューショングループ マネージャー 井上 義成 氏コープデリ生活協同組合連合会 店舗営業部 マーケティングシステム企画 次長 齊藤 繁 氏

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