小売や外食チェーンでは人手不足が深刻化している。少ない人数で、効率的な店舗オペレーションを継続するためには、RPA(業務の自動化)の検討は不可欠であり、受発注の自動化などに注目が集まる。その中で、決済の省力化につながるのがセルフレジやセミセルフレジであり、すでにスーパーをはじめ多くの小売チェーンで導入されている。
循環型から非循環型「Pay Cube」に替えるケースも
外食チェーンでは、セルフオーダーシステムの導入をはじめとして、食券の券売機導入やセルフレジの導入など決済でも店員の負荷を軽減する取り組みが活発化している。
10月の消費増税によりコンビニなどではポイント還元目当てのキャッシュレス決済が増加しているとはいえ、外食では現金決済が今でも主流。セルフレジを導入していても、現金決済では必ずつり銭対応が必要だ。しかし一般的な循環式自動つり銭機では、ランチ営業といった多客時につり銭切れを起こすケースが少なくない。そのたびに、来店客を待たせて店員はつり銭を補充しなければならない。
そこで紙幣や硬貨をあらかじめ、必要とする想定量を搭載した非循環式つり銭機を求める声も増えているという。貨幣処理機専門メーカーの日本コンラックスは非循環自動つり銭機「Pay Cube」を開発。セルフオーダーシステムやPOSシステムベンダーの日本システムプロジェクト(JSP)が、外食向けセルフレジに採用した。
「Pay Cube」は、オフィス街などランチ営業の多客時につり銭切れで、貨幣の補充を頻繁に行う必要があったすでに飲食店で、既存の循環型の自動つり銭機に替わって導入するケースもあり、実際に多客時でもつり銭の補充が不要となったことで店員の負荷軽減に役立っているという。それに加えて製品名にあるように本体がキュービック型のデザインとし循環型の自動つり銭機に比べて奥行きを小さくしたことで、スマートなセルフレジを設置できると好評だ。
JSPでは新たに開発したセルフレジにもマッチしたデザインとともに、つり銭補充が不要になる点を訴求できると判断して「Pay Cube」の採用を決めた。すでに外食チェーン店舗でトライアルを行ったが、多客時でもつり銭補充が必要となることは無く店舗スタッフからも好評だったとしている。
10月の消費増税でキャッシュレス決済にポイント還元など、小売や外食では現金やクレジットカード、電子マネーなど決済の多様化が進みそうだ。キャッシュレス決済の普及とともに、決済のセルフ化も人手不足による店舗オペレーションの効率化で進むだろう。現金決済のウェートが縮小することも想定されるが、全てがキャッシュレス決済に移行するわけではない。そんな時でも、つり銭補充などの負荷を減らすことが店舗運営の効率化に貢献することになる。