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スタバでビットコインが使える?! 小売業の導入メリットはこれだ

国内でQRコード決済が盛り上がる中、3月上旬、暗号資産(仮想通貨)業界でも決済に関わる大きなニュースが話題を呼んだ。ブロックチェーンメディアThe Blockが「米スターバックスコーヒーが2020年までにビットコイン決済を導入か」と報じたのだ。これに対しては世界中のメディアが大きく報じており、日本でも金融メディアをはじめさまざまなウェブメディアが日本語によるニュースを報じている。

写真はロイター

スターバックスが「ビットコイン決済」を導入する背景とは

 現在、スターバックスが提供するモバイルアプリでは、アプリ上に表示されたバーコードをレジで読み取ることで決済が完了し、購入ごとにリワードなどが得られる仕組みになっている。ビットコインでは、QRコードによって資産の受け渡しをすることができるため、このアプリがビットコインに対応する場合、QRコード決済によって決済が可能となることが考えられる。

 実は「スターバックスがビットコイン決済に対応する」という報道は、20188月にも報じられており、その際は公式の声明で「ビットコインでフラペチーノが買えるようになることはない」とのコメントを出していた。

 今回、このようなニュースが報道された背景には、同社がマイクロソフト社やボストン・コンサルティング社らが、2018年に共同でデジタル資産取引プラットフォームである「Bakkt(バックト)」を立ち上げたことが挙げられる。

 調査会社eMarketerによれば、2017年以降、アメリカにおけるモバイル非接触型ペイメント(Mobile Proximity Payments)において、スターバックスのアプリ決済はアップル社の「Apple Pay」、グーグル社の「Google Pay」を抑えて、Bakktはユーザー数1位2018年時点で2300万人)となっており、決済市場のメインプレイヤーとみなされている。

 今回の報道に対してスターバックスは、「『ビットコインを法定通貨(ドルや円など)へと変換してコーヒーを購入する」というプロセスになるだろう」とコメントしている。

 

スタバアプリに「取引所との連携機能」が追加?

 ビットコインを決済に利用する場合、まず日本円を受け付けている暗号資産の取扱所から、ビットコインを購入し、自分のパスワード(プライベートキー)を登録したウォレットアプリに保存する。

 店舗などにおいてビットコインで代金を支払う場合は、一般的にウォレットアプリ上で受取り手のアドレスに送信するというプロセスを踏むが、実際にはQRコードの読み取りで決済ができる。

 スターバックスによる「ビットコインを法定通貨と交換してコーヒーを購入する」という表現は、Bakktによる取引プラットフォームを活用し、ビットコインで法定通貨を購入、その法定通貨でコーヒーの支払いを完了させる、という意味だと考えられる。

 つまり、スターバックスアプリの中に「暗号資産取引所」との連携機能が追加され、ビットコインでコーヒーを買うことができるようになる、と推測される。

 

ビットコイン決済のメリットとは?

 現在のスターバックスアプリはプリペイド式で、日本円でチャージすることで決済に使用できる。しかし、同アプリには為替取引に対応する機能がないため、たとえば海外で「円→ドル」に変換して決済する、という機能はない。

 日本人ユーザーを想定してみると、アメリカなどのスターバックス店舗でアプリ払いをすることはできないため、海外では現金決済をする必要がある。両替には高価な手数料がかかるなど、旅行先での現金の扱いは少々面倒なものだ。

 スターバックスアプリから、取引プラットフォームのBakktに接続することが可能になれば、「ビットコイン→法定通貨でのチャージ→コーヒー決済」がシームレスに行うことができる。

 このようなデジタル資産間での変換サービスは、ドルや円などの法定通貨同士の交換と比較して極めて安い手数料で、ネットが接続できる国なら世界中どこでも一律で提供可能だ。コーヒーを購入するために現金を扱う煩わしさから解放されれば、さらなる利用体験の向上が期待できるだろう。今後、「決済の手軽さ」は顧客体験においてより重要な要素となってくるだろう。

 

 ビットコインによるプリペイドカードへのチャージについては、国内の仮想通貨交換業者「ディーカレット」が、JR東日本と共同で、ビットコインから仮想通貨でのチャージができるサービスの検討を開始している。

 ビットコインに対する国内消費者の警戒心は未だ強いが、デジタル決済に対する世界的な流れの中で、シームレスに価値を交換できるツールとして暗号資産に対する期待感は高い。

 QRコード決済の台頭によってキャッシュレス化が進む日本だが、インバウンド客の取り込みを考えれば、その先には暗号資産決済の普及が待っているかもしれない。