「生産性を追求したチェーンストア経営」を掲げ、平均売場面積約600坪の標準化された食品スーパー(SM)の出店を続けてきたベルク(埼玉県/原島一誠社長)。商圏内の競争が激化するなか直近でもその店づくりに変化はないのだろうか。同社が7月14日、埼玉県戸田市にオープンした最新店「ベルク戸田氷川町店」(以下、戸田氷川町店)を調査した。(調査日2021年7月29日)
冷凍食品売場に誘引する巧みな設計
戸田氷川町店がオープンしたのは、JR埼京線「戸田」駅から南西約1.5㎞の住宅街。戸田市は、東京都までアクセスがよいベッドタウンとして人口が増加中のエリアで、若い世代も多く生活している。
競合店としては、戸田駅の高架下に「サミットストア戸田駅店」が、駅西口前に「オーケー戸田駅前店」「ヤオコー戸田駅前店」と有力店が存在する。ベルクは駅前から徒歩20分ほどと、駅から少し離れた立地に店を構えるケースが多い。同店も同様で、1階に約150台の駐車場を持つピロティタイプで出店し、駅周辺の競合店とのすみ分けを図っている。
戸田氷川町店の売場面積は2184㎡で、ベルクの標準サイズよりやや大きい。図表❶は戸田氷川町店の売場スペース構成比を表したものだ。最も割合が高いのは、総菜を含めた生鮮4部門で29%。その後、日配が23%、加工食品が22%で続く。生鮮各部門は、青果12.2%、鮮魚7.0%、精肉3.7%、総菜6.2%で、青果の割合が最も大きい一方、売場面積でいえば精肉のウェイトは小さいのが特徴と言える。この構成比も基本的にベルクで標準化されたもので、これまでの経験から得た合理的な比率なのかもしれない。
図表❷は戸田氷川町店の売場レイアウトだ。こちらも標準化されており、出入口側から主通路沿いに青果、鮮魚、精肉、洋日配、パン、和日配、総菜を、売場中央に、加工食品、菓子、アイスクリーム、冷凍食品、飲料、酒類などを配置している。
ベルクの特徴的な売場の1つに、売場中央に配置する
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