ドミノ・ピザ ジャパン(東京都/ジョシュア・キリムニック社長)は5月19日、キッチンをガラス張りにし、ピザ作りのすべてを顧客が直接みることのできる「世界一透明なドミノ・ピザ」を東京・お台場にオープンした。世界90ヵ国のドミノ・ピザ全店舗でも初となる取り組み。ドミノ・ピザの新たな挑戦が詰まった同店と、徹底した“可視化”のねらいについてレポートする。
ライブ配信も!ピザ作りのすべてが見える
「世界一透明なドミノ・ピザ」としてオープンした「ドミノ・ピザ 台場店(以下、台場店)」は、東京臨海新交通臨海線(ゆりかもめ)「お台場海浜公園」駅から徒歩約3分。通りに面した店舗は、コンセプト通り店の外からでもピザ作りの様子が手にとるようにわかる造りだ。
ただし、透明なのは店舗の外観だけではない。店内に入ると、イートインスペースとキッチンを隔てるのは低めのカウンターのみで、他はすべてガラス張りになっている。さらに、ピザ生地を寝かせ、発酵させる冷蔵庫も透明で、生地が膨らんでいく様子まで見ることができる。生地を捏ね、発酵させ、伸ばし、トッピングをのせ、オーブンで焼き上げカッティングし箱に収めるところまで、すべてをお客が間近で見ることが可能だ。
さらにこれらのピザ作りの様子は、キッチンに設置された3台のカメラを通じてライブ配信。毎日11:00〜23:00の間、ドミノ・ピザ公式サイトから誰でも見ることができる。
徹底した可視化にこだわる理由
なぜドミノ・ピザは、ここまで徹底した可視化を施した店舗を出店したのか。そこには、「(ピザは)いまだに、冷凍を焼いているだけじゃないのか、出来合いの生地を使っているのではないか、そういう風に誤解されたままになっている部分がある。これは、長らくピザはデリバリーとしての使われ方が多く、店でどう作られているかということが見えにくかったことが原因」だと、ドミノ・ピザ ジャパン執行役員兼営業部長の柿内宏之氏は語る。
1985年に日本初のデリバリーピザチェーンとして東京・恵比寿に1号店を出店して以降、21年5月現在全国で750店舗以上を抱えるまでに成長したドミノ・ピザは、「おいしいに安心をTM」をモットーに掲げている。これまでも安全・安心なピザ作りにはこだわってきたが、今回の台場店出店でそのこだわりを幅広く発信していきたい考えだ。見られているからといって特別なことは何もせず、通常店と同じ材料で、同じメニューを、同じやり方で作る。“素”のドミノ・ピザを、包み隠さずすべて見せることで、顧客の抱いている不安感・疑問の解消や、近年高まる食の安全意識に応えることがねらいだ。
合成着色料・合成香料・合成保存料完全不使用を達成
食の安全といえば話題に上がりがちなのが、合成保存料などの食品添加物だ。今回、台場店のオープンに合わせてドミノ・ピザは全店で、合成着色料・合成香料・合成保存料を完全不使用に切り替えた。これは、サイドメニューを含む全フードメニューが対象で、メニューそのものは従来と同じだ。「おいしいに安心をTM」のモットーに従った取り組みの一環だが、ドミノ・ピザで扱うすべての食材を合成保存料など不使用のものに切り替えることは想像以上に難しく、実現には5年もの歳月がかかったという。
とくに最後まで苦労したのは、サイドメニューのエッグタルトの材料、シェイクに使用しているアイスクリームやチョコレートソースで、多くの仕入れ先をあたってようやく期待するものを見つけ出した。食材にこだわるとなると気になるのがコストの増加だが、「世界90ヵ国で展開していることで、グローバルな仕入れが可能になることがドミノ・ピザの強み。スケールメリットを活かせばコスト増は抑えられる」と柿内氏。あくまで今までと同じ手頃な価格で、より良い品質のものを提供していく姿勢を示した。
お台場から発信するドミノ・ピザの安心
お台場という立地を選んだのにも理由がある。ドミノ・ピザの安全性を徹底的にアピールするフラッグシップ店としては、「お台場は日本でも非常に知名度の高い場所で、全国、ひいては世界から人が集まる観光地でもある。商圏内の顧客だけでなく、より幅広くアピールするにはベストな立地」(柿内氏)だ。台場店の取り組みを通じて顧客がどのような満足感を得るのか、どういうリアクションがあるのか、さらなる顧客満足度の向上に向けて、ドミノ・ピザとしては反応をじっくりと見極める構えだ。
「いかに安心で長期的な目線を持てるかが外食の生命線。『ドミノ・ピザって安心だね』とすべての顧客に感じてもらうため、常に次世代型のピザ体験を提供していきたい」と柿内氏は意気込みを語った。