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新たな旗艦店「ライフグランシップ大船駅前店」 岩崎高治社長が「絶対売れる」と確信する理由とは

ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長:以下、ライフ)は2021227日、神奈川県横浜市に「ライフグランシップ大船駅前店」(以下、大船駅前店)をオープンした。同店は新たな旗艦店の位置づけで、オープン時の会見で岩崎社長が「絶対売れる」と自信を見せた店舗だ。そんな大船駅前店は、一体どのような売場づくりをしているのか。同店で初チャレンジした新たな取り組みを中心に紹介する。

大船駅前店が入居する大型複合施設「グランシップ」

新たな商品や売場づくりに積極的にチャレンジ

 大船駅前店が出店したのは、JR各線「大船」駅から直結の大型複合施設「グランシップ」の地下1階。もともとライフは以前同地に存在した商業施設の地下1階に旧「ライフ大船店」(174月閉店)を出店していたが、商業施設の取り壊しのため約15年の営業に幕を閉じた。大船駅前店の出店により、約4年ぶりに大船にライフが舞い戻った格好だ。

 大船駅前店は、“おいしい” “ワクワク” “ハッピー”という「ライフらしさ」を軸に、出来立てや簡便・即食などをテーマに近年の既存店で展開している最新の商品政策(MD)を詰め込んでいるほか、新型コロナウイルスの感染拡大により生じたニーズの変化などを踏まえ、新たな商品の導入や売場づくりに積極的にチャレンジしているのが特徴だ。

「旅行気分」を楽しめる商品をコーナー化

 売場づくりでまず目に付くのが、店内随所に設けられた「世界の○○」コーナー。「世界のキッチン」「世界のグルメ」「世界のソース」といったコーナーを、冷凍食品や加工食品、調味料などの各売場で展開している。コロナ禍で海外旅行に行けなくなった今、自宅で少しでも「旅行気分」を楽しめるような商品を積極的に導入した。

世界各国の料理を楽しめる「世界のキッチン」コーナー

 海外だけでなく、日本国内の名産品を集積した「ふるさと味巡り」と題したコーナーもレジ付近に設けている。

日本国内の名産品を集積した「ふるさと味巡り」

 酒類売場ではワインの品揃え強化に注力し、192月に開業した旗艦店の「ライフ桜新町店」とほぼ同等の1000SKUを展開する。売場はワインセラーを模した雰囲気で、演出にもこだわった。

発芽豆を使用した大豆ミートも

 大船駅前店では、同店から初導入となる新商品もたくさん登場した。畜産売場では、発芽豆を原料とした大豆ミートを使ったギョーザや春巻きなどを「ミライのおにく」として販売。一般的な大豆ミートが油を搾った大豆を使用しているのに対し、「ミライのおにく」は発芽させることで栄養をより引き出した「発芽豆」を使用しているのが特徴だ。

発芽豆を原料とした大豆ミートを使った「ミライのおにく」

 農産売場では、店内加工した商品として、手軽に食べられるようにフルーツやサラダをチャック付きの袋に入れた「ポケたべ」を展開する。そのほか、水産売場ではトレーごと電子レンジで温めるだけで手軽に食べられる「レンジ干物」を新発売。インストアベーカリーでは、いちごやみかん、バナナなど農産部門の果物を活用した「フルーツサンド」を展開する。総菜売場では、「大っきな!揚げ胡麻団子」や「だし香る手作り棒いなり」などの新商品もみられた。

トレーごと電子レンジで温めるだけで手軽に食べられる「レンジ干物」

 また、大船駅前店が入居する「グランシップ」にちなんで、船を模した売場展開や商品づくりにも取り組んでいる。水産売場では、同店限定で船の形をした容器に入れた刺身の盛り合わせ「グランシップ盛」を販売する。

「グランシップ」にちなんだ刺身の盛り合わせ「グランシップ盛」

岩崎社長が会見で語った「絶対売れる」と断言する3つの理由

 大船駅前店について、岩崎社長はオープン時の会見で「絶対売れる」と断言しており、その理由を3つ挙げている。

 1つめは、旧「ライフ大船店」の実績だ。旧店舗のオープン当初の年商は18億円ほどだったが、閉店時には約2倍の35億にまで成長したという。大船駅前店は毎年売上が伸びる繁盛店だった旧店舗と同じ場所への出店で、さらに売場面積を拡大。それに加え、「グランシップ」にはタワーマンションも備わり駅前の再開発が進んでいる。旧店舗の実績に加え売場面積を拡大し、商圏環境がよくなっていることも、大船駅前店の追い風となっている。

 2つめは、マーケティング技術の向上だ。岩崎社長によると、旧店舗を閉店してから現在までの約4年間で、ID-POSなどのデータ分析やクラスター分析など、ライフのマーケティングレベルが格段に上がっているとのことだ。今回の出店に当たっても、ウェブアンケートなどで近隣住民のニーズや不満についての緻密な分析を重ねている。4年前よりも向上したマーケティング戦略を反映させて売場づくりを行っていることも、大船駅前店成功の自信につながっているようだ。

 3つめは、積極的に新たな商品や売場に挑戦したことだ。旧店舗が築き上げた“売れる地盤”があるからこそ、これまで見てきたような新たな商品の導入や売場づくりに積極的にチャレンジすることができた。そのため、旧店舗よりもバラエティに富んだ魅力的な店舗を実現している。

 大船駅前店は年商目標を40億円に設定しているが、「将来的には50億円台もめざせる」と岩崎社長は話す。同店は「ライフセントラルスクエア押上店」や「ライフ桜新町店」に続く旗艦店として、ライフがかなりの力を入れている店舗であることは間違いなさそうだ。