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デジタル化と省力化でコスト削減、値下げ原資に 売上30%増目指すビッグ・エー、フューチャーストア2号店の全貌!

関東圏を中心にディスカウントストアを展開するビッグ・エー(東京都/三浦弘社長)は11月21日、「ビッグ・エー葛飾西亀有店」(東京都葛飾区:以下葛飾西亀有店)をリニューアルオープンした。同店は、2019年7月に改装した「ビッグ・エー足立扇店」(東京都足立区:以下足立扇店)に続き、新規施策を実験的に取り入れた“フューチャーストア”二号店。「1円でも安く」をモットーに掲げるビッグ・エーの新たな取り組みについてレポートする。

11月21日にリニューアルオープンしたビッグ・エー葛飾西亀有店。改装に伴ってバックヤードの壁を一部取り除き、売場面積を130坪から150坪に拡大した

改装の目玉は「デリベイク」と「トレジャーアイランド」

 JR常磐線「亀有」駅から徒歩13分の住宅街に位置する葛飾西亀有店は、もともと倉庫だった建物を利用した店舗。広々とした店内は明るい照明もあいまって清潔感溢れる雰囲気だ。改装後の葛飾西亀有店の売上目標は、先んじて改装した足立扇店よりも10ポイント高い130%(改装前比)。この目標を達成するため葛飾西亀有店は、売場にさまざまな仕掛けを施している。

 改装の目玉の一つは、店内焼成のパンを提供する「デリベイク」の導入だ。店舗入口から見て突き当たりに設置、一袋89円均一(本体価格)という安値やシズル感を強く訴求することで、来店客を店の奥まで誘導する役割を持たせた。

 もう一つの目玉は「トレジャーアイランド」だ。キッチン用品などの雑貨を格安でワゴンに陳列し、”売り切れ御免”で販売するコーナー。足立扇店から導入が始まった売場で、葛飾西亀有店では売場・品揃えを大幅に拡充した。コロナ禍で注目の集まったアウトドア用品や、筋トレ・ストレッチ用品などの健康器具を豊富に揃え、改装に伴って売場の位置も店舗奥から中央付近の目につきやすい場所に変更した。売れ行きは好調で、トレジャーアイランドで扱う商品の中では比較的高額の、2480円(本体価格)のアウトドア用チェアなどがとくによく売れているという。

 実際にこれらの取り組みは売上の底上げに貢献しており、「目標としていた伸び率を現時点で達成できている。好調な滑り出し」と三浦社長は話す。

店舗奥側から見た様子。向かって右側がトレジャーアイランド。広く確保された通路はカート同士が余裕を持ってすれ違え、滞在時間の延長や回遊性の向上に貢献している

自動割引適用、特大バーコードなどレジ周りのアイデアも

 一方、さらなるローコスト運営を追求するべく、店内作業の効率化にも余念がない。一例がレジ回りの業務だ。今回新しく導入したものに、割引商品の自動売価変更がある。売場で値下げシールを貼る際、同時にバーコードの位置に特殊なシールを貼付。レジではバーコードを読み取るだけで、このシールが認識され自動的に割引が適用される。レジでの一手間を削減し、割引の見落としを防止する効果もある。

バーコードの左側にある二重丸のシールを読み取ることで、レジで自動的に割引が適用される。割引表示のシールと切り離し、ウラ面のバーコードに貼り付けることもできる

 また以前からの取り組みとして、通常目立たない位置に小さく表示されているバーコードを、一部のPBでパッケージのオモテ面に大きく引き伸ばして印刷する工夫も拡大中だ。手にとった瞬間探さなくてもバーコードの位置が分かる工夫で、こういった商品は現在約120SKUまで増えたという。

パッケージオモテ面に引き伸ばして印刷されたバーコード。もちろんどこを読み取っても反応するため、レジでの手間削減になる

補充の手間も徹底的に削減

 商品の補充にかかる手間を削減する工夫も、葛飾西亀有店では多く取り入れられている。例えば牛乳など1Lのパック飲料の陳列棚には、什器メーカー・オカムラ特製の耐荷重量100kgのスライド棚を導入。これによって、先入れ・先出しの陳列が素早く行えるようになった。

 他にも、回転の早いケース売りの飲料水は店舗の入口すぐに配置。業者が直接そこに納入することで、陳列の手間を省略している。同じく、よく売れるトイレットペーパーなどの紙製品の売場は、一度に大量陳列できる奥行きのあるスペースを改装に伴い確保した。売れ行きによっては毎日補充の手間がかかっていたが、週2回の補充で済むようになった。

デジタル活用でさらなるコストカットをめざす

 最新のデジタル機器導入も積極的に進めている。勤務中のスタッフは、腕時計型のウェアラブル端末を身に付けており、ボタンひとつで他の従業員へスムーズに応援を要請したり、自動釣銭機の釣銭が少なくなっていることを知らせる通知を受け取ったりすることができるようになった。

 清掃ロボットも葛飾西亀有店で初めて導入した。あらかじめ設定されたルートに沿って店内を自走し床の清掃を行うもので、深夜来店客の少ない時間帯に走らせておけば、従業員の手間を取らずに約1時間で清掃が完了する。

実際に店舗で使用されている清掃ロボット。水拭きができないなどの欠点もあるが、今後の改良が見込まれる。

 

順調な滑り出しの葛飾西亀有店

ビッグ・エー 三浦弘社長

 改装後、順調な滑り出しの葛飾西亀有店だが、「今後は、足立扇店や葛飾西亀有店で効果の高かった施策を他店にも展開することで、さらなるコストカットを推進する」と三浦社長。

 ビッグ・エーといえば先日アコレとの経営統合が発表されたところだが、「統合によってさらなるボリュームディスカウントが可能になる。引き続き“1円でも安く”をモットーに、良いものを可能な限り安く提供していきたい」と三浦社長は意気込んだ。