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“空間を売る”「無印良品 東京有明」の新たなサービスとは?

123日、住友不動産が開発した大型商業施設「有明ガーデン」(東京都江東区)のモール&スパ棟1~3階にオープンした「無印良品 東京有明」(以下、東京有明店)。関東圏内で最大の売場面積を誇る同店は、“空間を売る”をテーマに街全体を「自分の住まう空間」ととらえ、「暮らしのサポート」「家づくり」「街づくり」に関する新たな施策を展開している。本記事では、百貨店を超える“百八貨店”を標榜する東京有明店の新たなサービスについて解説する。

(東京有明店の食品売場についての記事はこちら

街全体を“自分の住まう空間”ととらえる

 「これからの小売を考えると、単品商売には限界があり、暮らし方や働き方などをより快適にするような空間商売をしていかなければならない――」。東京有明店オープン前のメディア向け内覧会で、同店の松橋衆店長はこのように語った。

 無印良品は、これまで衣食住の基本となる商品を適正な価格で提供し、「感じ良いくらしと社会」の実現をめざしてきた。東京有明店ではさらにこの考えを発展させ、単に自分の家を快適にするだけでなく、街全体を「自分の住まう空間」ととらえ、家のインテリア相談からオフィス、コミュニティスペースの空間づくりのサポートまで幅広く対応する。心地よい住空間づくりに関する取り組みを強化し、地域住民の暮らしに長く役立つ存在をめざす考えだ。

収納相談や掃除サービスを展開

 東京有明店では、「暮らしのサポート」「家づくり」」「街づくり」の3つのテーマを中心に、さまざまな新サービスを導入している。

 「暮らしのサポート」では、日々の困りごとを相談できる「くらしのなんでも相談所」を2階に設置した。ここでは、1年間にわたるアンケートや座談会などで集めた店舗近隣の湾岸エリアに住む人々の悩みを解決するため、「お片付けサポート」というサービスを導入。無印良品のスタッフが実際に相談者の自宅に訪問し、暮らしに必要なものを整理して部屋の収納を改善するサービスだ。相談は来店でもオンラインでも対応可能となっている。

日々の困りごとを相談できる「くらしのなんでも相談所」では、無印良品のスタッフが実際に相談者の自宅に訪問し、暮らしに必要なものを整理して部屋の収納を改善する「お片付けサポート」を導入した

 また、同サービスでは不用品の引き取りも行う。地域企業などと連携しながら譲り手を探したり、補修やアップサイクル後に再販したりするリユース活動につなげていく考えだ。そのほか、普段使わないものを1箱単位で預かるサービスや、専門資格を有するスタッフが掃除の手伝いやアドバイスを行うといったサービスも実施する。

DIYを学べるコーナーを設置

 「家づくり」では、「部分リフォーム」「DIYサポート」「全面リノベーション」といったサービスを展開。「部分リフォーム」では、キッチンやリビング、書斎など、一部屋単位でのリフォーム相談を受け付ける。素材を生かした建材や家具を活用しつつ、個客にあわせた心地よさや個性を重視したリフォームを提案する。

「部分リフォーム」では、キッチンやリビング、書斎など、一部屋単位でのリフォーム相談を受け付ける

 「DIYサポート」では、セミナーやワークショップなどを通じて、DIYの基礎知識を習得したり、壁の塗装などを体験したりできる。また、同コーナーのすぐ隣には、カーテンレールやドアハンドルなど、部屋の内装を自由に編集可能なパーツを集めた「INFILL+」コーナーも設けた。

「DIYサポート」では、壁の塗装などを体験できる

 自分にとって心地よい空間を一からつくりあげる「全面リノベーション」では、無印良品初の取り組みとして、マンションを想定した原寸大のモデルルームを設置した。

マンションを想定したモデルルーム

 そのほか、2階には無印良品が開発した平屋の戸建て「陽の家」のモデルハウスも設置している。

無印良品が開発した平屋の戸建て「陽の家」のモデルハウス

4つの分野で街の空間づくりを企画 

 「街づくり」では、「家」「オフィス」「商業施設」「公共」という4つの分野で、企画から考える空間づくりのサービスを開始する。店舗周辺だけでなく、オンラインで全国の家庭や企業、自治体などから相談を受け付け、自然素材を生かした内装や什器を使用し、オフィスリノベーションから公共の遊休スペースの活用提案まで、依頼主とともに地域活性化に取り組んでいくサービスとなっている。東京有明店には、スタッフが働く環境を直接見ることができるモデルスペース「見えるオフィス」を設置した。

スタッフの働く環境がわかる「見えるオフィス」

 そのほか、店舗のある江東区と連携し、食品ロスやごみの削減、リサイクルなど環境に関する取り組みを積極的に実施する。その一環として、1階には食べきれずに余った食品を回収する「フードドライブ」を、3階には「古着回収ステーション」を設けた。民間の店舗でこのような回収ボックスを導入したのは、都内では東京有明店が初だという。

余った食品を回収する「フードドライブ」

 コロナ禍で過ごす時間が増えた自宅を中心に、自分が生活する場所をより快適にしたいというニーズは拡大しつつある。しかし、実際には何から始めたらよいかわからないという人も多い。東京有明店は、こうした人々にとってさまざまなアドバイスを受けるのに役立つ店舗となるだろう。